【差額は16,500円】FoKus Apollo Pro 徹底解説|Proの変更点は5つだけ

4.0
Noble Audio FoKus Apollo Pro の外観 オーディオ
FoKus Apollo Pro。40mmダイナミックと14.5mm平面磁界の同軸ハイブリッド構成は前モデルから据え置き。引用: https://nobleaudio.com/products/apollo-pro

製品名に「Pro」が付くと、たいていは中身が変わります。ドライバーが新しくなる、チップが替わる、ノイズキャンセリングの世代が上がる。ところが Noble Audio が2026年9月5日に発売した FoKus Apollo Pro は、そのどれでもありませんでした。

ドライバー構成、ANCの方式と低減量、チップセット、再生時間、重量、サイズ、Bluetoothのバージョンとコーデック——すべて前モデルの FoKus Apollo と同一です。変わったのは、チューニング、イヤーパッド、キャリングケース、音声ガイド、そしてカラー。数えて5点で、いずれも音響設計そのものには手が入っていません。

価格は 121,000円。前モデルの104,500円から16,500円上がっています。この差額が何に対して払われているのかを、この記事では整理します。ぜひ最後までご覧ください。

FoKus Apollo Pro の主なスペック

項目仕様
発売日2026年9月5日
価格121,000円
カラーBurgundy/Peacock Blue
方式密閉型・ハイブリッド
ドライバー40mm ダイナミック × 1 + 14.5mm 平面磁界 × 1(同軸配置・片側2基)
再生周波数帯域10Hz〜40kHz
インピーダンス32Ω/感度 99dB @1kHz
ノイズキャンセリングハイブリッド(FF+FB)・最大 -35dB・左右各3マイク
チップQualcomm QCC3084
連続再生ANC ON 約60時間/OFF 約80時間(音量50%時)
充電約3時間(USB Type-C)/バッテリー 1,000mAh
質量約327g
Bluetooth5.3/SBC・AAC・aptX HD・LDAC/マルチポイント対応
有線3.5mm(電源オフでも動作)/USB-C(USBオーディオ・ゲームモード対応)
フレーム陽極酸化アルミニウム/ヘッドバンドはイタリア製アルカンターラ

再生時間が異様に長いのがこの製品の最大の武器です。ANC ONで60時間、OFFで80時間。同価格帯の Bowers & Wilkins Px8 S2 が30時間、Sony WH-1000XM6 が30時間(NC ON)ですから、競合のおよそ2倍あります。

対応コーデックは LDAC まで揃っています。コーデックが音質にどう関わるのかは、別途まとめています。

なお、仕様表では対応コーデックが「SBC / AAC / aptX HD / LDAC」ですが、公式の本文では aptX(無印)も挙げられています。表と本文で記載が食い違っているので、aptX 接続を前提に買うなら販売店で確認してください。

Proで変わったのは、音の仕上げと触り心地だった

前モデルとの差分を並べると、変更点の性格がはっきりします。

項目FoKus ApolloFoKus Apollo Pro
価格104,500円121,000円
ドライバー40mm DD+14.5mm 平面同一
ANCハイブリッド・-35dB同一
再生時間60h/80h同一
重量・サイズ327g・H195×W170×D85mm同一
Bluetooth・コーデック5.3/SBC・AAC・aptX HD・LDAC同一
チューニングWizardチューニングよりナチュラルで躍動感あるHi-Fiへ再調整
イヤーパッド人工プロテインレザープレミアムベルベットクッション採用の改良型
キャリングケースEVA樹脂製セミハードより小型・コンパクト化
音声ガイド記載なし新システムを採用
カラーBlack/SilverBurgundy/Peacock Blue

つまり Pro は「新型」ではなく「仕上げ直し」です。設計を据え置いたまま、鳴り方と手触りを詰めてきた。Engadget は「限定生産(limited-run)として販売」とも報じています。

FoKus Apollo Pro の新色 Burgundy
新色のBurgundy。前モデルのBlack/Silverから配色が入れ替わった。引用: https://nobleaudio.com/products/apollo-pro

これを物足りないと見るか、まっとうと見るかは分かれるところだと思います。ただ、ドライバーとANCを据え置いたということは、前モデルの設計に手を入れる必要を感じていなかったということでもあります。音の方向性だけを変えたかった、と読むのが素直でしょう。

海外レビューでは、前モデルがV字傾向だったのに対し、Pro は中域の凹みが緩和されてよりバランス型になった、という評価が出ています。イヤーパッドも側面レザー+接触面メッシュのハイブリッド構成になり、通気性が上がったとのことです。いずれも二次情報なので、参考程度に受け取ってください。

FoKus Apollo Pro の新色 Peacock Blue
もう一方の新色、Peacock Blue。イヤーパッドはベルベットクッションを採用した改良型になった。引用: https://nobleaudio.com/products/apollo-pro

40mmダイナミックと14.5mm平面磁界の同軸ハイブリッド

このヘッドホンの設計上の特徴は、片側に種類の違うドライバーを2基、同軸で重ねていることです。

40mmのダイナミックドライバーが低域から中域を、14.5mmの平面磁界ドライバー(プラナーマグネティック)が中高域を担当します。平面磁界型は振動板全体を均一に駆動できるため、応答が速く歪みが少ないとされる方式です。一方で駆動力を要するため、ワイヤレスヘッドホンに載せる例はまだ多くありません。

同軸配置というのも効いています。2つのドライバーを前後に並べるのではなく同じ軸上に置くことで、帯域ごとの音の出どころがずれにくくなります。イヤホンの世界ではマルチドライバー機の定位の甘さが議論になりますが、その対策として同軸を採る設計は理にかなっています。

チューニングは Noble Audio 創業者の Dr. John Moulton(通称 Wizard)が担当しています。この人の名前が付いていることが、このブランドを選ぶ理由のひとつでもあります。

使い方の幅がやたらと広い

3.5mm有線は、電源オフでも鳴ります。バッテリーが切れても音が出る、というのは長距離移動では効く特性です。ただし電源オフ時はANCとボリュームコントロールが使えません。

USB-C接続にも対応します。こちらは電源オンが必要ですが、ANCを含む機能が使えて、さらにゼロレイテンシーゲームモードが用意されています。着脱式のブームマイクも付属し、本体にミュートスイッチまで付いています。通話マイクは cVc 8.0 対応です。

ヘッドホン1台で、音楽・ゲーム・会議を回せる構成になっています。付属品も、セミハードケース、アクセサリーポーチ、ブームマイク、USB C to Cケーブル、3.5mmケーブル、6.35mm変換、フライトアダプター、4.4mm変換と充実しています。

FoKus Apollo Pro のハウジング側面の操作部とイヤーパッド
ハウジング側面の操作部とイヤーパッド。Proで手触りが変わったのは、このあたりになる。引用: https://nobleaudio.com/products/apollo-pro

ただし4.4mm変換は付属するもののバランス接続には非対応です。ここは紛らわしいので注意してください。

気になるポイント

機能面のモダンさでは競合に劣ります。空間オーディオとヘッドトラッキングは非搭載、装着検知も一次情報に記載がありません。急速充電の仕様も公表されていません。LE Audio / LC3 についても記載がなく、未公表のままです。

項目FoKus Apollo ProPx8 S2WH-1000XM6
価格121,000円約129,800円59,400円
再生時間(ANC ON)60時間30時間30時間
空間オーディオなしありあり
急速充電未公表15分で7時間あり
USB DAC仕様非公表96kHz/24bit

Px8 S2 は USB DAC の対応スペックを96kHz/24bitと明示していますが、Apollo Pro は USBオーディオ対応とうたうだけで数値がありません。ハイエンド帯の製品としては、この情報の出し方は不親切に感じます。

同じ価格帯でどこにお金が向かっているかという比較は、別の記事でも扱っています。

そして 327g という重量。Px8 S2 やWH-1000XM6(約254g)より重く、アルミフレームぶんの質感と引き換えになっています。長時間の装着を最優先するなら、店頭で一度かぶってから決めたほうがいいでしょう。

どんな人におすすめか

  • 充電の頻度を減らしたい人: ANC ONで60時間は、この価格帯で頭ひとつ抜けています
  • 平面磁界ドライバーに興味がある人: ワイヤレスで同軸ハイブリッドを積む機種は多くありません
  • 1台で音楽・ゲーム・会議を回したい人: USB-Cのゲームモードとブームマイクが標準で付きます
  • 前モデルを持っている人: 買い替える理由は薄いと思います。中身が同じなので、差額16,500円は仕上げに対する支払いになります
  • 空間オーディオや装着検知が欲しい人: 向きません。Px8 S2 か WH-1000XM6 を検討してください

よくある質問(FAQ)

Q
前モデルの FoKus Apollo とどこが違いますか?
A

チューニング、イヤーパッド、キャリングケース、音声ガイド、カラーの5点です。ドライバー、ANC、再生時間、重量、Bluetooth周りはすべて同一です。

Q
価格はいくらですか?
A

121,000円です。前モデルは104,500円だったので、16,500円の差になります。

Q
有線でも使えますか?
A

3.5mmは電源オフでも鳴ります(ANCとボリューム操作は不可)。USB-Cは電源オンが必要ですが、ANCとゲームモードが使えます。

Q
空間オーディオには対応していますか?
A

対応していません。ヘッドトラッキングも非搭載です。

Q
バランス接続はできますか?
A

4.4mm変換プラグは付属しますが、バランス接続には非対応です。

まとめ:中身を変えずに出した「Pro」をどう見るか

FoKus Apollo Pro は、前モデルを持っている人には勧めにくく、持っていない人には勧めやすい製品です。中身が同じなので買い替えの動機は弱い。一方、これから買うなら、チューニングが見直され、イヤーパッドの通気性が上がり、ケースが小さくなった Pro を選ばない理由もありません。

要点を整理します。

  • 121,000円・2026年9月5日発売。前モデルとの差額は16,500円
  • ドライバー・ANC・チップ・再生時間・重量はすべて据え置き。変わったのは仕上げ側
  • ANC ONで60時間は、同価格帯の競合(30時間前後)の約2倍
  • 空間オーディオ・装着検知・急速充電は非搭載または未公表
  • 3.5mmは電源オフでも鳴り、USB-Cではゲームモードが使える

私自身、イヤホンとヘッドホンを10年以上買い続けてきて、「音は好みだが、充電が面倒で使わなくなった」機種をいくつも見送ってきました。スペック表で真っ先に再生時間を見る癖がついたのは、その反省からです。その意味で、ANC ONで60時間という数字は、価格よりも先に目を引きます。

12万円という値段は決して軽くありませんが、この設計を据え置いたまま出してきたということ自体が、前モデルの完成度への自信なのだと思います。気になった方はぜひ手に取ってみてください。

項目別評価

同価格帯のハイエンドワイヤレスという枠の中で採点しました。

  • 音質:★★★★☆ 4.5(40mmダイナミック+14.5mm平面磁界の同軸ハイブリッド、10Hz〜40kHz、LDAC対応)
  • ノイズキャンセリング:★★★★☆ 4.0(ハイブリッド方式・最大-35dB・左右各3マイク)
  • バッテリー:★★★★★ 5.0(ANC ON 60時間/OFF 80時間。競合の約2倍)
  • 機能性:★★★☆☆ 3.0(空間オーディオ・装着検知なし、急速充電とUSB DAC仕様は未公表)
  • コスパ:★★★☆☆ 3.5(121,000円。前モデルとの差額16,500円は仕上げに対する支払い)
  • 総合:★★★★☆ 4.0

プログラマー。高校時代のWALKMAN+Sonyイヤホンをきっかけに、10年以上にわたってオーディオを中心にガジェットを買い続けています。SONY XBA-A3は今も現役で愛用、Sonyワイヤレスイヤホンは3世代追いかけて進化を体感してきました。得意領域はイヤホン・ヘッドホン、4K有機ELテレビ、ゲーミングマウス、PC周辺機器。「自分が本気で買うつもりで判断軸を作る」スタンスで、後悔のない買い物のための情報を発信しています。

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