FiiOの2026年新製品を追いかけていると、発表と予告と噂が入り混じって、結局どれがもう買えるのかが分からなくなってきます。私も新しいR2R搭載機の話題を見かけるたびに、これは発売済みなのか、それともまだ予告段階なのかを毎回確かめ直していました。
この記事は、2026年6月に公開したロードマップ整理の更新版です。あれから3か月半が経ち、当時「予告段階」としていた機種のうち何台かは実際に発売されました。名前そのものが変わってしまったモデルもあります。
そこで今回は、年初にFiiOが示した予定が9月21日時点でどこまで実現したのかを、「日本で買える」「海外では出た」「まだ出ていない」の3段階に整理し直しました。時期や価格の二次情報に振り回されたくない方は、ぜひ最後までご覧ください。
年初の予定はどこまで実現したか
主要7モデルの「語られていた時期」と「現在地」を並べると、ずれ方に共通の癖が見えてきます。
| 製品 | 年初〜春に語られていた時期 | 2026年9月21日時点 | 日本での取り扱い |
|---|---|---|---|
| K17 R2R | 2026年7月 | 発売済み | 9月18日発売(エミライ) |
| DP11 | 2026年6月 | 発売済み(9月) | 発表を確認できず |
| CLASS A | 2026年7月 | 発売済み(8月25日・中国) | 発表を確認できず |
| M21T(仮称) | 2026年6月 | DT11に改名し10月1日発売予定 | 発表を確認できず |
| R7 R2R | 2026年6月 | 未発売(実機展示のみ) | 発表を確認できず |
| KG13 | 2026年9月 | 年内発売予定へ後ろ倒し | 発表を確認できず |
| K13(標準版) | 2026年11月 | 変更の情報なし | 発表を確認できず |
この記事の価格・時期について
本記事に載せている価格と発売時期は、いずれも2026年9月21日時点で確認した参考値です。国内価格はエミライが公表している市場想定価格、海外価格はFiiOおよび海外販売店が示している金額を指しています。為替や販売店の在庫によって実売価格は日々動きますし、日本での取り扱いが後から発表されることもあります。記事を読んだ時点の情報とは差が出ている前提でご覧いただき、購入前には必ず最新の情報をご確認ください。
9月21日までに発売時期を迎えたモデルを見ると、当初語られていた月からずれたものが目立ちます。ただ、少なくとも開発中止が発表されたモデルは確認できません。遅れながらも、実物は着実に出てきています。
日本で買えるようになったのは K17 R2R
6月時点で「予告のみ・国内未公表」と書いていたK17 R2Rは、9月18日にエミライから国内発売されました。市場想定価格は税込 約176,000円前後(オープン価格)で、カラーはシルバーとブラックの2色です。
K17 R2Rのスペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 製品名 | FIIO K17 R2R |
| 国内発売日 | 2026年9月18日 |
| 価格帯 | 税込 約176,000円前後(オープン価格) |
| DAC | 24+5bitセグメント型 R2R PRO DAC |
| 最大出力 | バランス 4,000mW / シングルエンド 1,850mW(32Ω時) |
| 対応フォーマット | 最大768kHz/32bit、DSD256、MQAフルデコード |
| デジタル入力 | USB / 同軸 / 光 |
| アナログ入出力 | ライン入力・バランス入力 / ライン出力2系統 |
| ヘッドフォン出力 | 3系統 |
| ネットワーク | ギガビットイーサネット、Wi-Fi 2.4G/5G、Bluetooth 5.1 |
| 外形寸法・質量 | 約245×223×69mm / 約2.9kg |
| カラバリ | シルバー、ブラック |
| 取扱代理店 | エミライ |
見どころは、抵抗を梯子状に並べてデジタル信号をアナログへ変換するR2R方式のDACを、17万円台の据置ヘッドフォンアンプに載せてきた点です。32Ω時にバランスで4,000mWという出力は、鳴らしにくい平面駆動ヘッドホンまで見据えた数字でしょう。ギガビットイーサネットとWi-Fiを両方備えているので、PCを立ち上げずにネットワークプレーヤーとして単体で使えるのも、この価格帯の据置機としては実用的です。
R2RやDSDといった言葉の前提になる「Hi-Fi(高忠実度)」という考え方については、以下の記事で基礎から解説しています。据置DACアンプを選ぶときの土台になる話ですので、あわせてご覧ください。
春から国内で流通しているモデル
K17 R2R以外にも、エミライから国内発売されて実際に店頭に並んでいるモデルがあります。こちらは前回の記事から変わらず、確度の高い確定情報です。
| 製品名 | 区分 | 国内の状況 | 目安価格 |
|---|---|---|---|
| JM21 2026 | DAP | 発売済 | 実売 約39,600円 |
| M27 | フラッグシップDAP | 発売済 | 素材で変動 |
| M33 R2R | R2R搭載DAP | 発売済 | — |
| M21 | DAP | 発売済 | — |
| Snowsky DISC | CD風DAP | 発売済(5月22日) | 実売 約17,930円 |
| ECHO MINI | レトロDAP | 発売済 | 実売 約1万円 |
このうちJM21 2026は、RAMを4GB・ストレージを64GBへ増やし、Cirrus Logic製CS43198をデュアル搭載したモデルです。バランス接続で最大700mW、バッテリーも3100mAhと、約4万円という価格からすると中身が濃い1台ですね。Snowsky DISCにはその後ホワイトが追加されました。
海外では出たが、日本はまだ:DP11とCLASS A
ここからは、FiiO側では発売済みなのに、日本での取り扱いが9月21日時点で確認できないモデルです。「海外で発表されたから、もうすぐ日本でも買える」とは限らないので、この2機種は分けて扱います。
DP11はDACも内蔵するCDトランスポートだった
前回の記事では、DP11を「KシリーズのDACアンプとデジタル接続して使う前提の、CD再生に特化した機種」として紹介していました。CDトランスポートという製品カテゴリー自体は合っていますが、外部DACと繋ぐ専用機のように読める書き方だった点は、9月に明らかになった実機の仕様とずれていたので訂正します。
DP11はCS43198 DACを内蔵しており、プリアンプ機能を持つRCAアナログ出力まで備えています。デジタル出力はAES・同軸・光の3系統で、CDリッピングとMQAにも対応します。海外価格は169.99ドルです。
つまり、DACアンプへデジタルで送るトランスポートとしても、単体でアンプへアナログ出力する据置CDプレーヤーとしても使えます。2万円台半ばという価格を考えると、かなり欲張った構成です。CDを手放さずに持っている方には、なかなか刺さる1台ではないでしょうか。
CLASS Aは8月25日に中国で発売
DACを持たない純A級ヘッドフォンアンプのCLASS Aは、8月25日に中国本土で発売されました。中国価格は1,999元、国際価格は379.99ドルです。
出力は32Ω時に4,000mWで、4.4mmバランスとXLRから取り出せます。入力はXLR・RCA・3.5mm・4.4mmの4系統です。USB-C端子はありますが、これはファームウェア更新専用で、USB DACとしては機能しません。6月の記事で紹介した「DACを持たない純A級ヘッドフォンアンプ」という位置づけは、製品版でも変わりませんでした。
この2機種の国内発売は未発表
DP11とCLASS Aは、いずれも9月21日時点でエミライからの国内取り扱い発表を確認できていません。海外通販で買う選択肢はありますが、その場合は国内保証やサポートの扱いが変わります。日本語での問い合わせ先が必要な方は、正規代理店の発表を待つほうが安全です。
M21Tは「DT11」に名前を変えて10月1日発売予定
今回いちばん大きな動きが、前回「仮称」としていたM21Tです。製品名はDT11に変わり、2026年10月1日の発売が予定されています。FiiO公式のAliExpressストアで先行予約が始まっており、受付は9月30日まで。価格は早期予約が299.99ドル、通常価格は339.99ドルとアナウンスされています。
名前が変わった理由
FiiOのCEOであるJames Chan氏は、デジタル出力の最適化と磁気マウント機能の追加によって変更が大きくなり、M21の派生モデルとして扱うのは適切でない、と説明しています。単なる型番の整理ではなく、製品の立ち位置そのものが変わったわけです。FiiOはDT11を「世界初のポータブルAndroidデジタルトランスポート」として打ち出しています。
DT11のスペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 製品名 | FIIO DT11(旧称 M21T) |
| 発売日 | 2026年10月1日発売予定 |
| 価格 | 早期予約 299.99ドル / 通常 339.99ドル(先行予約は9月30日まで・国内価格は未発表) |
| プラットフォーム | Snapdragon 680 / Android 13 |
| ディスプレイ | 4.7インチ LCD(720p) |
| ストレージ | 内蔵64GB+microSD(最大2TB) |
| バッテリー | 4,000mAh(最大約20時間) |
| デジタル出力 | USB-C / 3.5mm光デジタル / 3.5mm同軸 |
| アナログ出力 | なし(DAC・アンプ非搭載) |
| 特徴 | MagSafe互換マグネット、デュアルフェムト秒クロック |
| 質量 | 約192g |
DAPからDACとアンプを取り払った構成なので、DT11単体では音が出ません。外部DACやポータブルアンプと組み合わせて初めて成立する、かなり割り切った製品です。
BTR19との組み合わせも想定されている
DT11の背面にはMagSafe互換のマグネットが入っており、同時に発表されたBluetooth DAC/アンプのBTR19と磁気で合体できます。DT11がAndroidの再生環境とデジタル出力を担当し、BTR19がDACとアンプを担当する、という役割分担です。
もちろん、手持ちの外部DACやドングルと組み合わせても使えます。スマートフォンにドングルDACをぶら下げる構成と似ていますが、こちらは音楽再生だけに使える独立した端末になります。通知や電話で音楽が途切れないのは、実際に使うと効いてくる部分でしょう。私自身、スマートフォン1台にすべてを集約するより、再生専用機を分けたほうが音楽に集中できると感じるタイプなので、この方向性は理解できます。
まだ発売前:R7 R2R・KG13・K13の現在地
一方で、いまだに発売へたどり着いていないモデルもあります。
R7 R2Rは、据置一体型ストリーマーR7の後継にあたるモデルです。3月の上海国際耳機展でFiiOが実機を展示しており、製品そのものが存在することは確認できています。それでも9月21日時点で、正式な発売告知は確認できません。二次情報で語られていた「6月予定」からは、すでに3か月以上が過ぎました。
KG13は、FiiO初のゲーミング向け据置ヘッドフォンアンプです。FiiO公式は8月にお披露目を始め、発売は年内を見込むとしています。6月の記事で紹介した「9月予定」からは後ろにずれた形です。
K13(標準版)は、11月予定のまま新しい情報が出ていません。ここで紛らわしいのが、名前のよく似たK13 R2Rがすでに2025年に発売されている点です。今年のロードマップに載っているK13はデルタシグマ型の標準版で、店頭にあるK13 R2Rとは別のモデルになります。型番だけで検索すると取り違えやすいので、購入前に方式の表記を確認してください。
秋の発表会で新たに増えたモデル
9月の発表会では、年初のロードマップになかった製品も一気に出てきました。噂段階だったM25系も、ここで正式に発表されています。
| 製品 | 種別 | 状況 |
|---|---|---|
| M25 | DAP | 発表済み(AK4191EQ+AK4499EX×2) |
| M25 R2R | DAP | 発表済み(24+5bitセグメント抵抗ネットワーク) |
| DM11 | ポータブルCDプレーヤー | 発表済み |
| BTR19 | Bluetooth DAC/アンプ | 2026年11月予定 |
| FT15 | 密閉型ヘッドホン | 発表済み |
| FX25 | ハイブリッドIEM | 発表済み |
M25とM25 R2Rは、Qualcomm QCS6490・RAM 8GB・ストレージ128GB・5.5インチディスプレイという土台を共有し、DAC部だけが違う兄弟機です。デルタシグマとR2Rのどちらを選ぶか、という分かりやすい二択になっています。
DM11は円形デザインのポータブルCDプレーヤーで、CS43198とSGM8262を積み、バランス出力は500mW+500mW。USB DAC機能とBluetooth送信にも対応します。据置のDP11と合わせて、FiiOが今年CD再生にかなり本気なのが分かる布陣です。
このほか、EL34真空管を使ったパワーアンプのEA13(769.99ドル)や、JadeAudioブランドの2×300Wパワーアンプ LEVEL 1(139ドル)も登場しました。いずれもヘッドフォンオーディオの枠を越えた製品で、FiiOが据置オーディオ全体へ広がろうとしていることが読み取れます。
「◯月予定」はどれくらい当たったのか
半年ぶんの答え合わせをして、はっきりしたことが3つあります。
- 発売時期はずれる例が相次いだ: K17 R2Rは7月予定が国内9月、CLASS Aは7月予定が8月、KG13は9月予定が年内へ。前倒しになった例は見当たりません
- 名前すら変わることがある: M21TはDT11になりました。仮称のまま発売日を待つのは、やはり危ういということです
- それでも、出ないわけではない: 7モデル中3モデルが発売済み、1モデルは発売予定日まで公表。少なくとも、開発中止が発表されたモデルは確認できません
6月の記事で、二次情報の「6月予定」を確定として扱わない方針を選びました。結果として、その判断は正しかったことになります。今回追った2026年モデルに限れば、FiiOの予告は「製品化の意思」を読む材料にはなっても、「カレンダー」としては余裕を持って見たほうがよさそうです。
発売日を当てにして買い替え計画を組むより、国内発売のアナウンスを待ってから動くほうが、予定変更に振り回されにくくなります。
よくある質問(Q&A)
- QM21Tはもう発売されないのですか?
- A
名称がDT11に変わって発売されます。発売予定日は2026年10月1日で、先行予約は9月30日まで。価格は早期予約が299.99ドル、通常が339.99ドルです。
- QK17 R2Rは日本で買えますか?
- A
はい。エミライから2026年9月18日に国内発売され、市場想定価格は税込 約176,000円前後です。
- QDP11やCLASS Aは日本で買えますか?
- A
2026年9月21日時点では、国内代理店からの取り扱い発表を確認できていません。海外では発売済みです。
- QR7 R2Rはいつ発売されますか?
- A
9月21日時点で正式な発売日は出ていません。3月のイベントで実機は展示されているため、開発自体は進んでいるとみられます。
- QR2Rとは何ですか?
- A
抵抗を梯子状に組み合わせてデジタル信号をアナログへ変換する方式で、滑らかでアナログ的な音色が魅力とされます。FiiOは独自のR2R PROアーキテクチャとして上位機に展開しています。
まとめ:2026年のFiiOは「遅れるが、出る」
年初のロードマップから9か月が過ぎて、FiiOの2026年はだいぶ形が見えてきました。R2Rの拡大と、機能を絞った専用機への傾斜という2本の軸は、当初の見立てどおりに進んでいます。変わったのは時期と、一部の製品名だけでした。
- 国内で買える: K17 R2R(9月18日発売・約176,000円)、JM21 2026、M27、M33 R2R、M21、Snowsky DISC、ECHO MINI
- 海外では発売済み・国内未発表: DP11、CLASS A
- 発売予定日が公表: DT11(旧M21T・10月1日発売予定・早期予約299.99ドル/通常339.99ドル)
- まだ出ていない: R7 R2R、KG13、K13(標準版)
- 読み方の注意: 二次情報の「◯月予定」は、そのまま届く前提で見ないほうが安全
いま国内で手に入れられる据置R2R機が欲しい方は、K17 R2Rが現実的な選択肢になります。外部DACを持っていて再生専用機を探している方なら、10月1日発売予定のDT11が本命でしょう。R7 R2Rを待っている方は、残念ながらもう少し様子を見る時間が続きそうです。
私自身、Victor WOOD master HA-FW5000TやDENON Perl Proを愛用していて、時間があればe☆イヤホンで聴き比べをするのが習慣になっています。FiiOがここまで用途を絞った専用機を並べてくる流れは、正直わくわくします。とはいえ、確実なのは発売済みのモデルだけです。気になる機種があれば、まずは国内で買えるK17 R2Rを試聴で確かめるところから始めてみてください。続報が入り次第、この記事も更新していきます。


