ノートPCをUSB-Cで充電するなら、最低でも45〜65Wの出力が欲しいところです。かつて65W級のマルチポート充電器は5,000〜6,000円が相場でしたが、GaN(窒化ガリウム)採用による小型化とメーカー間競争、さらにニトリのような小売チェーンの参入で、いまや「3,000円前後」で買える時代になりました。
ただし、安いからといって何を選んでもいいわけではありません。充電器の本当の実力は「最大出力」よりも、「複数の機器を同時に挿したとき、各ポートに何Wずつ配分されるか」に表れます。
この記事では、2026年5〜6月に登場したMOTTERU・ニトリの新製品に、定番のCIO・UGREENを加えた4機種を、電力配分まで踏み込んで比較します。あなたの手持ちデバイスと持ち運び方に合う1台を一緒に見つけましょう。ぜひ最後までご覧ください。
今回比較する充電器・価格/発売日リスト
| モデル名 | ポート構成 | 発売・価格(税込/取得日2026年6月13日) |
|---|---|---|
| MOTTERU PD67W 3ポート | USB-C×3 | 2026年6月5日/通常5,530円・モニターセール2,980円 |
| ニトリ 薄型USBチャージャー 65W | USB-C×1+USB-A×1 | 2026年5月下旬/2,990円 |
| CIO NovaPort SLIM 67W | USB-C×2 | 発売済/希望小売5,980円・セール3,000円台〜 |
| UGREEN Nexode 65W(CD244) | USB-C×2+USB-A×1 | 発売済/実売4,099円前後 |
※価格は変動します。特にMOTTERUとCIOはセール時に3,000円前後まで下がるため、購入タイミングが重要です。
基本スペック比較表
各機種の主要スペックを横並びにしました。注目すべきは「複数ポート同時使用時の配分」の行です。
| 比較軸 | MOTTERU | ニトリ | CIO | UGREEN |
|---|---|---|---|---|
| 最大出力 | 67W | 65W | 67W | 65W |
| ポート構成 | C×3 | C×1・A×1 | C×2 | C×2・A×1 |
| 同時使用時の配分 | 非公表 | C45W+A12W(合計57W固定) | 合計65W内で自動振り分け | ポート位置依存の固定配分 |
| 急速充電規格 | USB PD | USB PD3.0 | USB PD・PPS | USB PD・PPS・QC |
| サイズ | 非公表 | 46×15×84mm | 約85×47×14mm | 66×40×31mm |
| 重量 | 非公表 | 約83g | 約95g | 約130g |
| 折りたたみプラグ | あり | あり | あり | あり |
| 同梱ケーブル | 非公表 | なし | なし | なし |
| 保証 | 2年 | 1年 | 非公表 | 非公表 |
MOTTERUは「USB-C×3」という尖った構成が魅力ですが、肝心の同時使用時の配分は公式が非公表です。一方でニトリ・CIO・UGREENは配分を公開しており、ここに各社の設計思想が表れます。
複数ポート同時で何Wが出るのか
この比較で最も重要なポイントです。ノートPCに作業中の電力(45W前後)を供給しながら、スマホも急速充電したい——この王道シーンで、各機種の挙動は大きく異なります。
- CIO(自動振り分けが最も賢い):2ポート同時で合計65Wを「45W+20W」や「30W+30W」へ自動調整。挿す場所を考えず、PPS対応でGalaxy系の急速充電にも強いです。
- UGREEN(位置依存で要注意):上のCと下のCで「45W+20W」、上のCとAで「45W+18W」ですが、下のCとAを同時に使うと各8.5W(合計17W)に激減します。ノートPCは必ず上のCに挿す運用が必須です。
- ニトリ(堅実な固定配分):CとAの同時使用で「C45W+A12W(合計57W)」。PCの45Wは確保されますが、スマホ側は12Wどまりで最新機の急速充電には届きません。
- MOTTERU(配分は非公表):C×3で最大3台同時充電は可能ですが、各ポートの具体的な配分は公式に公表されていません。Type-C機器だけを複数持ち歩く人向けです。
「最大65W」と書いてあっても、2台挿した瞬間の実力はこれだけ違います。スペック表の数字を鵜呑みにせず、自分の同時充電シーンで何Wになるかを確認するのが、後悔しない選び方です。
購入前に知っておきたい2つの注意点
そもそも65W級のマルチポート充電器がこの価格・サイズで実現したのは、GaN(窒化ガリウム)半導体のおかげです。Apple純正の67Wアダプター(約208g)に対し、GaN採用のサードパーティ製は80〜130g程度まで軽量化されています。とはいえ、買う前に押さえておきたい落とし穴が2つあります。
- ケーブルは別売り:今回の4機種はすべて本体のみで、充電ケーブルは付属しません。65W(20V/3.25A以上)を安全に引き出すにはPD対応ケーブルが必要で、特に60Wを超える場合はE-Marker(通信チップ)内蔵のケーブルを使わないと、充電器側が安全機能で出力を絞ってしまいます。
- 小型ゆえの発熱と出力制御:GaN充電器は放熱面積が狭く、高負荷時は本体が熱を持ちます。CIOのように温度上昇を検知して出力を65Wから55W程度へ自動で絞る保護機能を備えた機種もあり、これは故障を防ぐ正常な動作ですが、動画エンコードなど常に最大給電を要求する用途では出力が安定しにくい点に注意です。
MOTTERU PD67W 3ポート

特徴・強み
- USB-C×3への全振り:レガシーなUSB-Aを廃し、Type-Cケーブル3本であらゆる機器を同時充電できます。
- 2年保証+セール時の破格:通常5,530円ですが、モニターセールでは2,980円。この価格でC×3・67W・GaN・2年保証はコスパ最高クラスです。
こんな人におすすめ
ノートPC・スマホ・ワイヤレスイヤホンなど、最新のType-C機器を複数まとめて充電したいアーリーアダプター層に最適です。出張先のコンセント不足を1台で解消する“マルチハブ”として機能します。
ニトリ 薄型USBチャージャー 65W

特徴・強み
- 圧倒的な薄さと軽さ:厚さ約14.6mm・重量約83gと、ブロック型のGaN充電器を大きく下回るスリムさ。スイングプラグでバッグの隙間に収まります。
- 店頭で買える安心感と国内PSE:全国のニトリ店舗で現物を確認して買え、株式会社ニトリが届出事業者としてひし形PSEを取得。価格は2,990円で安定しています。
こんな人におすすめ
PC本体と充電器だけをカバンに入れて持ち歩くミニマリストに最適です。基本はノートPC単体(最大65W)で使い、緊急時にスマホを12Wで同時充電する、という割り切った運用で真価を発揮します。なお、ニトリ製品はニトリ店舗・ニトリネットでの取り扱いが中心で、Amazonでは販売されていません。
CIO NovaPort SLIM 67W
特徴・強み
- 賢い自動振り分け:2ポート同時でも「45W+20W」などへ自動調整。どちらに挿すか考えずにPCとスマホを最適充電できます。PPS対応でGalaxyの超急速充電にも対応。
- 薄型14mm+シボ加工:厚さ約14mmにC×2を備え、表面は傷がつきにくいシボ加工。携帯性と実用性のバランスが高い1台です。
実際の使用感(メディア評価)
各レビューでは、65Wの高出力ながらガジェットポーチに自然に収まるサイズと、セール時3,000円台という価格が高評価です。一方で、温度上昇時に保護機能(NovaSafety)が働いて出力が65Wから55W程度に自動調整されるため、動画編集などPCが常に最大給電を要求し続ける用途には不向き、という冷静な指摘もあります。
こんな人におすすめ
ノートPCとスマホの2台同時充電を、何も考えずスマートにこなしたいビジネスユーザーに最適です。
UGREEN Nexode 65W(CD244)
特徴・強み
- 3ポートの拡張力:USB-C×2+USB-A×1で、Type-A依存の旧周辺機器も含めて3台同時に充電できます。3ポート時も上のCはPC向けに45Wを維持します。
- PPS・QC対応の汎用性:幅広い急速充電規格に対応し、スマホからモバイルノートまで1台でカバーできます。
実際の使用感(メディア評価)
ガジェットメディアでは、純正アダプターから40%以上軽量化しつつ3ポートを備える点が高評価です。ただし前述のとおり、下のCとAを同時使用すると合計17Wに激減する固定配分が最大の注意点。ノートPCは必ず上のCに挿す、というリテラシーが求められる機種です。
こんな人におすすめ
USB-A依存の周辺機器を含め、デスクやホテルで3台を据え置き充電したい人に向いています。ポート位置のルールを理解して使える人なら、3ポートの利便性が活きます。
用途別おすすめ:結局どれが買いか
4機種を比べると、最適解は「手持ちデバイスの構成」と「持ち運び方」で明確に分かれます。
◆ 薄さ・軽さ・安さ最優先(PC単体充電が中心)→ ニトリ
厚さ約14.6mm・約83g・2,990円という物理スペックは唯一無二。PC1台を持ち歩くミニマリストの最適解です。
◆ PCとスマホの2台を賢く同時充電 → CIO NovaPort SLIM 67W
自動振り分けで挿す場所を考えず、PCもPPS対応スマホも妥協なく急速充電できます。
◆ 最新Type-C機器を3台同時に → MOTTERU PD67W 3ポート
USB-A非搭載のC×3構成は、Type-C機器を複数持ち歩く人にぴったり。セール時2,980円ならコスパも最高クラスです。
◆ USB-A機器も含めて3台を据え置き → UGREEN CD244
A端子混在の3ポートが強み。ポート位置の固定配分さえ理解すれば、デスクやホテルで活躍します。
まとめ



3,000円前後でも65W級のGaN充電器が十分手に入る時代ですが、カタログの最大出力だけでは選べません。
- 薄さ・安さなら:ニトリ(約14.6mm・83g・2,990円、PC単体運用に最適)
- 同時充電の賢さなら:CIO(自動振り分けでPC+スマホを最適化)
- Type-C複数台なら:MOTTERU(C×3で最新機器をまとめて)
- A端子も使う据え置きなら:UGREEN(3ポート、ただしポート位置に注意)
「最大何Wか」ではなく「同時に挿したとき各ポートに何Wか」で選ぶ——これが65W級充電器で失敗しない最大のコツです。
なお、これらよりも安定した上位帯(ノートPCがワット数不足だと給電警告を出すようなタイプ)を確実に賄いたいなら、100W級も視野に入ります。私自身、仕事場では会社の貸与ノートPC向けにAnker Prime Wall Charger 100Wを使っていますが、その67Wモデルとの違い・100Wが本当に必要かの見極め方は、以下の記事で詳しく比較しています。あわせてご覧ください。
私自身、3,000円前後でここまで実用的な選択肢が揃ったことに驚いています。手持ちのデバイス構成を思い浮かべながら、あなたにとっての“最適な1台”をぜひ見つけてください。

