サウンドバーの製品ページで「7.1.2ch」という表記を見たとき、スピーカーが10個入っていると思う方は少なくないはずです。私もそう読んでいた時期がありました。実際には、この数字はスピーカーの数を保証しません。
Sonos Beam Ultra は、2026年9月25日に先行予約が始まり、10月9日発売。価格は税込99,800円です。Sonos はこの製品を「真の7.1.2 Dolby Atmos」と表現していて、前モデルの Beam (Gen 2) と明確に線を引いています。ただし搭載しているドライバーは9基。チャンネル数の10には届きません。
では何が「真の」なのか。この記事では、9基の内訳を公式仕様から数え直します。そのうえで、Beam (Gen 2) から実際に変わった点、上位の Arc Ultra との5万円差、予約前に確認しておきたい設置条件までを整理します。ぜひ最後までご覧ください。

製品スペック一覧
まず公式が公表している数字だけを並べます。総合出力(W)・ドライバー口径・再生周波数特性はいずれも未公表です。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 製品名 | Sonos Beam Ultra |
| 価格 | 税込 99,800円 |
| 先行予約 | 2026年9月25日 |
| 発売日 | 2026年10月9日 |
| カラー | ブラック/ホワイト(マット仕上げ) |
| ドライバー | 9基(ミッドツイーター1/ホーン搭載ミッドツイーター2/上向きツイーター2/薄型ウーファー4) |
| アンプ | Class-Dデジタルアンプ 9基 |
| チャンネル表記 | 7.1.2 |
| 対応フォーマット | Dolby Atmos/Dolby Digital Plus/Dolby TrueHD/マルチチャンネルPCM/DTS Digital Surround(DTS:X は非対応) |
| 接続 | HDMI eARC/ARC ×1、Wi-Fi 6(2.4/5GHz)、Bluetooth 5.3、AirPlay 2 |
| 寸法(H×W×D) | 65 × 750 × 105 mm ※製品ページは65mm、公式ユーザーガイドは63mmと表記揺れ |
| 質量 | 2.88 kg |
| 最適なテレビサイズ | 最大65インチ程度(Sonos の表現) |
| 同梱物 | 本体/電源ケーブル2m/HDMIケーブル1.5m/セットアップガイド |
| 別売 | 光オーディオアダプター 2,980円/ライン入力アダプター 2,980円/Sonos コンボアダプター 6,480円(イーサネット+ライン入力)/壁掛け金具 11,800円 |
| 総合出力・口径・周波数特性 | — (未公表) |
引用: https://www.sonos.com/ja-jp/shop/beam-ultra
7.1.2chを数えると、ドライバーは9基しかない
7.1.2 は、耳の高さの7チャンネル+低域を担う1チャンネル+ハイトの2チャンネル、合計10チャンネルという意味です。Sonos 自身も Beam Ultra を「7つの耳の高さのチャンネル、1つの重低音チャンネル、2つのハイトチャンネル」と説明しています。対して物理ドライバーは9基。1つ足りません。
念のため書いておくと、「.1」はサブウーファーが1台内蔵されているという意味ではありません。低域を担当するチャンネルの数であって、Beam Ultra にサブウーファーは入っていません。ここが最初のつまずきどころです。
これは Sonos が誇張しているという話ではなく、サウンドバーのチャンネル表記がもともとスピーカー数と一致しないためです。価格.comのスペック定義自体が「チャンネル数は、スピーカーの数と配置を指します(※バーチャルサラウンドも含む)」と書いています。同じ2026年10月に発売される Klipsch Flexus CORE 100 は、物理的には2.1chの構成でバーチャルDolby Atmosを名乗ります。
そのうえで、Sonos が Beam Ultra について公式に明言しているのは次の2点です。
- 9基のうち2基が上向き専用ドライバーで、ハイトチャンネルを担当する
- 左右のホーン搭載ミッドツイーターが、ステレオの音場分離をつくる
逆に、耳の高さの7チャンネルが9基のどのドライバーにどう割り当てられているかは、公式に説明がありません。ここは推測で埋めないほうがいい部分です。

Sonos が「真の7.1.2」と表現するうえで、前モデルとの最も明確な違いは、ハイトの2chを実在する上向きドライバーで鳴らす点です。Sonos 自身の言葉を並べると、書き分けがはっきりします。Beam (Gen 2) は「ハイトチャンネルを再現して、頭上からの音の『印象』を与える」、Beam Ultra は上向きドライバーを持つ、という言い方です。全チャンネルが物理スピーカーだと主張しているわけではありません。
ハイトは天井に反射させる方式|効く部屋と効かない部屋
上向きドライバーがあるとはいえ、音は真上に飛ぶだけです。Sonos の公式ガイドは「Beam Ultraの上向きドライバーは、音波を天井に反射させて聴く人へ届けます」と説明しています。つまり天井が跳ね返してくれる部屋でないと、この2基は本領を発揮しません。
設置条件も公式が数字で示しています。サウンドバーの上部には、上方に最低10cmのスペースを確保すること。テレビ台の棚板にぴったり収めたり、上に物を置いたりすると、ここが潰れます。
10cm を確保できない場合の逃げ道も用意されています。Sonos のサポートは、上部のスペースが10cm未満のときに「シミュレートされたオーバーヘッドサウンド」をオンにすることを推奨しています。ただしこれは自動で切り替わる機能ではありません。Sonosアプリの「設定」→「マイシステム」→該当の部屋→「サウンド」→「Height Audio」から、自分でオンにします。

天井が高い部屋、勾配天井、吸音材の入った部屋では効果が落ちます。設置場所を決めてから買う製品だと考えておいたほうが確実です。
Beam (Gen 2) から変わったこと、変わらなかったこと
前モデルは併売されます。Beam (Gen 2) は税込64,800円で残り、Sonos のサウンドバーは Arc Ultra/Beam Ultra/Beam (Gen 2)/Ray の4製品体制になります。3万5千円差をどう見るかの材料として、公式仕様を突き合わせました。
| 項目 | Beam Ultra | Beam (Gen 2) |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 99,800円 | 64,800円 |
| ch表記 | 7.1.2 | 5.1.2(バーチャル) |
| ドライバー/アンプ | 9基/9基 | 5基+パッシブラジエーター3基/5基 |
| 上向きドライバー | あり(2基・専用) | なし |
| 幅 | 750 mm | 651 mm |
| 質量 | 2.88 kg | 2.88 kg |
| 光デジタル | アダプター別売 | 光オーディオアダプター同梱 |
| Bluetooth | 5.3 | なし |
| イーサネット | 別売コンボアダプター経由(6,480円) | 10/100ポート内蔵 |
| Wi-Fi | Wi-Fi 6(2.4/5GHz) | 2.4GHz(b/g/n) |
| Trueplay | iOS+Android | iOSのみ |
面白いのは質量です。99mm 幅が広がってドライバーが4基増えたのに、2.88kg でまったく同じ。この数字は両製品の技術仕様を並べないと出てきません。
一方で、減っているものもあります。光デジタルアダプターが別売になり、イーサネット端子も本体からなくなりました。有線LANでつなぎたい場合、Sonos は Beam Ultra について「Sonos コンボアダプターを使用します」と案内しています。つまり Gen 2 から乗り換える方で光接続や有線LANを使っていた場合、光オーディオアダプター2,980円かコンボアダプター6,480円ぶんの追加費用が発生します。地味ですが、買い替え前に確認しておく価値のある変更点です。
前モデルの使用感については、以前レビューをまとめています。Gen 2 のままでいくか迷っている方は、あわせてご覧ください。
Arc Ultra との5万円差と、同価格帯の競合
上位の Arc Ultra は税込149,800円。差額は5万円です。
| 項目 | Beam Ultra | Arc Ultra |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 99,800円 | 149,800円 |
| ch表記 | 7.1.2 | 9.1.4 |
| 総ドライバー数 | 9基 | 14基 |
| アンプ | 9基 | 15基 |
| 幅 | 750 mm | 1,178 mm |
| 質量 | 2.88 kg | 5.9 kg |
| 対応フォーマット | 完全に同一 | 完全に同一 |

対応フォーマットの記載は両者で一文まで同じです。つまり5万円で買っているのは音響規模と筐体で、再生できるものの種類ではありません。幅も1,178mmと大きく、50型テレビの画面幅(約1,107mm)を超え、55型(約1,218mm)に迫るサイズです。
同じ10万円前後の他社機と並べると、Sonos の弱点も見えてきます。
| 機種 | ch構成 | Atmos/DTS:X | 実売・定価 | 幅 |
|---|---|---|---|---|
| Sonos Beam Ultra | 7.1.2(ハイト2chが実ドライバー) | Atmos ○/DTS:X × | 99,800円(定価) | 750 mm |
| Sony BRAVIA Theatre Bar 8 | 5.0.2 | Atmos ○/DTS:X ○ | 98,110円 | 1,100 mm |
| JBL BAR 800 MK2 | 7.1(サラウンド+サブ同梱) | Atmos ○/DTS:X ○※ | 96,800円 | 854 mm |
| Klipsch Flexus CORE 100 | 2.1(物理) | バーチャルAtmos/— | 79,800円(定価) | 711 mm |
※ 実売は価格.com掲載の最安(2026年9月19日時点)。JBL BAR 800 MK2 の DTS:X は、公式に「DTS:Xおよびその他のDTSコーデックに対応するのは最新のファームウェア適用時」と注記されています。
この記事の価格について
本記事に載せている実売価格は、いずれも2026年9月19日時点で確認した参考値です。価格.com掲載の最安価格は販売店の在庫や時期で日々動きますし、セール期間中はさらに下がることもあります。記事を読んだ時点の実際の価格とは差が出ている前提でご覧いただき、購入前には必ず最新の価格をご確認ください。
DTS:X 非対応は、正直に書いておくべき差です。挙げた3機種のうち Sony と JBL は対応しています。ただし Beam Ultra も DTS Digital Surround は再生できるので、DTSがまったく鳴らないわけではありません。DTS:X で収録されたUHD BDをそのまま活かしたい方にとって、無視できない違いという整理になります。逆に、JBL はサラウンドとサブが同梱でこの価格なので、「一式まとめて」を求める方には別の答えがあります。
他社も含めた選び方の全体像は、こちらで整理しています。
Sonos Play 2台で、リアスピーカーが生える
今回の発表でいちばん実用的なのは、実はサウンドバー本体ではないかもしれません。
Sonos 27 で追加された「ポータブルサラウンド」は、Sonos Play または Move 2 を2台、サウンドバーの近くに置くだけでリアサラウンドになる機能です。Sonos Positioning Technology が短い高周波音で互いの距離とサウンドバーまでの距離を測り、役割を自動で切り替えます。設置後およそ8秒でペアリングされ、片方を持ち出せば両方とも単体スピーカーに戻ります。
条件はいくつかあります。
- 同一モデル2台が必須。Sonos Play ×2 か Move 2 ×2 で、混在はできません
- 対応サウンドバーは4機種のみ。Beam (Gen 2)/Beam Ultra/Arc/Arc Ultra で、Arc SL と Ray は非対応です(マイクを搭載していないため)
- 同じ部屋で、サウンドバーが見える位置に置くこと
- リアサラウンドとしてのみ動作し、1世帯につき1セット
- サラウンド使用中は、そのスピーカーの Bluetooth・ライン入力・AirPlay が無効になります
注目したいのは、この機能が Beam (Gen 2) でも使える点です。Beam Ultra を買わなくても、いま Gen 2 を持っている方は Sonos Play を足すだけでリアを増やせます。バッテリー内蔵で電源ケーブルが要らないので、映画のときだけ後ろに置く運用ができます。
予約前に確認しておきたい4つのこと
買ってから気づくと面倒な点を、先にまとめておきます。
- テレビ台の横幅: 750mm あります。Gen 2 から99mm 広がっているので、ぴったり収まっていた方は要採寸です
- HDMI入力はありません: eARC/ARC の出力1系統のみ。ゲーム機を経由させる使い方はできません
- 古いテレビとの互換性: 公式技術仕様に「CCFLバックライト搭載テレビ(2004年〜2012年製造)に対応していません」という記載があります。該当年代の液晶テレビを使っている場合は事前確認を
- Sonosアプリの2年間: 2024年5月のアプリ刷新は重大な不具合と機能削除を招き、7月には当時のCEOが正式に謝罪しました。同年8月には約6%の人員削減も実施され、2025年1月にCEOが交代しています。今回の Sonos 27 について同社はコミュニティの声を取り入れて開発・テストしたと説明していますが、新環境の安定性は発売後の評価も見ておきたいところです
Sonos は Beam Ultra を「最大65インチ程度のテレビに最適」と紹介していますが、これは最適サイズの目安であって対応上限ではありません。AV Watch は75型と組み合わせて試聴し、広がり方やパワフルさで遜色ないだろうとしています。
よくある質問
- QDolby Atmos を聴くには eARC が必須ですか?
- A
必須ではありません。Dolby Digital Plus ベースの Atmos は、**バージョン2.01以上の HDMI ARC** でも再生できます。ただしバージョン2.0以下の ARC と光アダプター経由では Atmos は通らず、Dolby TrueHD ベースのロスレス Atmos には eARC が必要です。
- QBeam (Gen 2) は買えなくなりますか?
- A
併売されます。税込64,800円で残り、Sonos のサウンドバーは4製品体制になります。
- QDTS:X には対応していますか?
- A
対応していません。DTS 系は DTS Digital Surround のみです。
- QSonos Ace Ultra とつなぐと何ができますか?
- A
2つの別機能があります。テレビ音声スワップは Ace と Ace Ultra の両方に対応し最大2台まで、ヘッドフォンリンキングは **Ace Ultra 専用**で同時1台のみ、ロスレスと空間オーディオには非対応です。
- Qサブウーファーは同梱されますか?
- A
同梱されません。Sonos Sub 4(109,800円)または Sub Mini(64,800円)を別途追加する形になります。
まとめ:9基の内訳を読めれば、10万円の中身が見えてくる
Sonos が言う「真の7.1.2ch」で、前モデルとの最大の違いは、ハイトの2チャンネルを実在する上向きドライバーで鳴らす点でした。10チャンネル分のスピーカーが入っているわけではありません。そこを正しく読んだうえで、この幅に上向き専用ドライバーを2基積んだ設計にどれだけ価値を見るか、という製品だと思います。
- 9基のドライバーのうち2基が上向き専用。耳の高さ7chの割り当ては公式非公表
- ハイトは天井反射方式。上部に最低10cm、確保できなければアプリでシミュレートをオンにする
- Gen 2 から99mm幅広、質量は同じ2.88kg。光アダプターは別売化、イーサネットは別売コンボアダプター(6,480円)経由
- DTS:X 非対応。同価格帯の Sony・JBL は対応している
- Sonos Play 2台でリアが足せる。この機能は Beam (Gen 2) でも使える
天井が平らで、テレビ台の上に10cm以上の余裕があり、あとから Sonos で拡張していきたい方には素直に噛み合う製品です。逆に、DTS:X のディスクを多く持っている方や、リアとサブまで一式で10万円に収めたい方は、JBL BAR 800 MK2 のような同梱型のほうが近道でしょう。
私自身はリビングで BRAVIA の有機ELに HT-S100F を組み合わせていて、サウンドバー1本でどこまで変わるかは体感してきたつもりです。それでも今回いちばん気になったのは、本体そのものより Sonos Play を2台置くだけでリアが生えるという仕組みのほうでした。先行予約は9月25日から。設置場所の上に10cm空いているか、まずは巻き尺を当ててみてください。


