【業界初のガラス振動板】ケンウッド GLASS Core KH-CRZ90T|Proの半額で「ガラスの音」が手に入る

4.0
ケンウッド GLASS Core KH-CRZ90T(25,300円)と GLASS Core Pro(49,940円)のスペック比較。ガラス振動板は両方に搭載 イヤホン

イヤホンの振動板は、たいていポリマー系の樹脂かチタンかベリリウム、あとは平面駆動あたりに落ち着きます。素材そのものが話題になることは、正直そう多くありません。

ところがケンウッドは、そこにガラスを持ってきました。GLASS Core(KH-CRZ90T)とGLASS Core Pro(KH-CRZ100T)、ワイヤレスイヤホンとしては業界初のガラス振動板を積んだ2機種です。

しかもこれ、ケンウッドにとっては節目の製品でもあります。2026年で創業80周年を迎えるにあたって、JVCケンウッドが展開する周年記念モデルの第一弾という位置づけ。看板を背負って出してきた製品、ということになります。

面白いのは、この2機種の関係です。上位のProは約5万円、下位のGLASS Coreは実売25,300円。ほぼ半額。それでいて、ガラス振動板そのものは両方に入っています。しかも単体の連続再生時間は、下位のほうが長い。

今回はこの下位モデル、GLASS Core(KH-CRZ90T)を軸に見ていきます。価格はすべて税込、2026年8月8日時点で確認したものです。

KH-CRZ90Tの確定スペック

ケンウッド公式の仕様から。

項目内容
実売最安25,300円(2026年8月8日・価格.com)
市場推定価格27,800円前後
発売2026年6月下旬
ドライバー口径10mm・ガラス振動板(シングル構成)
ノイズキャンセリング搭載(アダプティブモード、ウインドカット)
コーデックSBC/AAC/LDAC
連続再生(NC オフ)イヤホン17時間/ケース27時間=計44時間
連続再生(NC オン)イヤホン13時間/ケース21時間=計34時間
重量片耳5.85g/ケース39.2g
防水IPX4(イヤホン本体のみ)
マルチポイント2台
充電USB-C/ワイヤレス充電・クイック充電

片耳5.85g、ケース39.2g。この軽さは数字で効いてきます。

業界初のガラス振動板とは何か

まず注釈から正確に写しておきます。ケンウッドの表記は「業界初※1のガラス振動板」で、注釈は「ワイヤレスイヤホンにおいて(2026年6月11日現在、当社調べ)」です。

一部の媒体は「世界初」と書いていますが、メーカー自身の表記は「業界初」で、範囲もワイヤレスイヤホンに限定されています。ここは正確に読んでおきたいところです。

ではなぜガラスなのか。ケンウッドの説明はこうです。

ワイドレンジで、余分な残響が残りにくいことに加え、音の立ち上がりが速く、キレとアタック感のある優れた特性

業界初のガラス振動板を採用したケンウッド GLASS Core のガラス素材イメージ
引用: ケンウッド公式サイト

要するに硬くて内部損失が小さい、という素材の性格を狙っています。

振動板に求められる条件は昔から変わっていません。軽くて、硬くて、余計に鳴かないこと。軽ければ信号に素早く追従し、硬ければ面全体が一枚の板として動いてくれます。逆に柔らかい素材だと、周波数によって振動板の一部だけが勝手に動く分割振動が起きて、音がにじみます。ベリリウムやセラミック、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)といった素材が高級機に使われてきたのは、この条件を満たすからです。

ガラスはその系譜に並ぶ素材、という位置づけになります。硬さと内部損失の小ささという点では理屈が通っていて、「余分な残響が残りにくい」「立ち上がりが速い」という説明もその性格から素直に出てきます。

一方で、ガラスには扱いの難しさもあります。硬い素材は総じて脆く、薄く均一に加工するのが難しい。イヤホンサイズで10mm径の振動板として量産できる形にしたこと自体が、この製品のいちばんの技術的な中身なのだと思います。

ただし、これはメーカーの説明と素材の一般論であって、私が聴いて確かめた話ではありません。実機は所有していないので、音の傾向についてはここまでにします。

Proとの違い ― そして再生時間のねじれ

同時発売のProと並べます。

ケンウッド GLASS Core Pro(左)と GLASS Core(右)のキービジュアル
引用: ケンウッド公式サイト
項目GLASS Core(KH-CRZ90T)GLASS Core Pro(KH-CRZ100T)
実売最安25,300円49,940円
ドライバー10mm ガラス振動板(シングル)10mm ガラス振動板+MEMS(2way・バイアンプ)
ノイズキャンセリング搭載「世界最高クラス」と表記
コーデックSBC/AAC/LDAC同じ
再生(NCオフ・単体)17時間14.5時間
再生(NCオン・単体)13時間12時間
再生(NCオフ・計)44時間49時間
重量(片耳)5.85g6.7g
重量(ケース)39.2g58.4g
防水IPX4IPX4

単体の再生時間は、下位のGLASS Coreのほうが長い。ノイズキャンセリングをオフにすれば17時間対14.5時間、オンでも13時間対12時間です。

理由はドライバー構成でしょう。Proは10mmのガラス振動板にMEMSドライバーを足した2way構成で、バイアンプ駆動しています。鳴らすものが増えれば電気も食う。素直な結果です。

ただしケース込みの総再生時間では逆転します。Proが49時間、GLASS Coreが44時間。Proのケースは58.4gと重いぶん、電池も積んでいるわけです。どちらが長持ちかは、単体で見るかケース込みで見るかで入れ替わります。

そして重量は一貫してGLASS Coreが軽い。ケースで19.2g差は、ポケットに入れる人には効いてきます。

25,300円という価格帯には、何が並んでいるか

素材の新しさは分かった。ではその値段で何と戦うことになるのかも見ておきます。価格.comで「よく比較される製品」に挙がっている顔ぶれです。

製品実売最安満足度
ケンウッド GLASS Core KH-CRZ90T25,300円5.00(1件)
SONY WF-1000XM524,466円4.28
JBL LIVE BUDS 424,750円5.00
Anker Soundcore Liberty 5 Pro25,737円4.27
オーディオテクニカ ATH-TWX9MK226,970円4.44

このあたりはノイズキャンセリングも装着感も作り込まれた完成品ばかりです。前世代とはいえWF-1000XM5が24,466円で買えますし、Liberty 5 Proはほぼ同じ値段でウルトラノイズキャンセリング4.0を積んでいます。

つまり総合力で勝ちにいく価格ではありません。GLASS Coreがこの帯で選ばれるとしたら、理由は「業界初のガラス振動板が、この値段で試せる」という一点になります。尖った理由がある人にとっては安く、ない人にとっては割高。そういう立ち位置です。

ところが、市場はProを選んでいます

ここが調べていていちばん意外だった部分です。

項目GLASS CoreGLASS Core Pro
実売最安25,300円49,940円
売れ筋ランキング91位10位
レビュー5.00(1件)4.90(8件
クチコミ0件29件
お気に入り登録17人81人

イヤホン11,395製品中、倍の値段のProが10位。下位モデルの91位を大きく引き離しています。クチコミ29件、お気に入り81人という数字も、関心がProに集まっていることを示しています。

前に扱ったSoundcore Liberty 5 Pro/Pro Maxでは、音が同じなら安いほうという判断がはっきり出ていました。ここでは逆です。

読み方は2つあると思います。ひとつは、ガラス振動板という新しさに反応する層が、そもそも上位機を買う層と重なっているという見方。もうひとつは、Proの2way+バイアンプという構成そのものが評価されているという見方です。

気になるポイント

実機を持っていません

本記事はケンウッド公式の公表値と価格.comの掲載情報にもとづく整理です。ガラス振動板の音がどう聞こえるか、ノイズキャンセリングがどこまで効くか、装着感はどうか——そこには踏み込めていません。

とくに素材が新しいぶん、実機レビューの数が判断材料になります。GLASS Coreはまだレビュー1件、クチコミ0件です。急がないなら、もう少し声が集まってから決めるのも手だと思います。

ノイズキャンセリングは「世界最高クラス」ではない

正確に書くと、「世界最高クラス」という表現が使われているのはPro側です。GLASS Coreにもノイズキャンセリングは載っていて、アダプティブモードもウインドカットもありますが、同じ性能とは書かれていません。

ノイズキャンセリングを最優先するなら、この価格帯には実績のある選択肢が揃っています。GLASS Coreを選ぶ理由は、そこではないはずです。

マルチポイントは2台まで

同価格帯には3台対応の製品もあります。PC・スマホ・タブレットを行き来する使い方だと、2台は少し窮屈かもしれません。

実売価格はまだあまり下がっていない

市場推定価格は27,800円前後で、いまの最安が25,300円。発売から約2ヶ月で2,500円ほどです。イヤホンとしては標準的な下がり方で、まだ本格的な値崩れには入っていません。

ケンウッドはAnkerのようにセールで大きく動かすメーカーではないので、大幅な値下がりを待つより、必要になったタイミングで買うほうが素直だと思います。ただし年末商戦は例外で、ここは一度様子を見る価値があります。

防水はイヤホン本体のみのIPX4

ケースは防水対象外です。IPX4は「あらゆる方向からの水しぶきに耐える」等級なので、汗や小雨は問題ありませんが、水没は想定されていません。

こういう人はどうすべきか

こういう人判断理由
ガラス振動板の音を試したいGLASS Core素材は上位機と同じ。半額で入口に立てる
シンプルな一発ドライバーが好みGLASS Coreシングル構成。素材の性格が素直に出る
軽さを重視するGLASS Core片耳5.85g、ケース39.2g
1日中つけっぱなしGLASS CoreNCオフで17時間、オンでも13時間
旅行や出張が多いPro も候補ケース込みなら49時間で逆転する
ノイズキャンセリング最優先他機種も比較「世界最高クラス」を名乗るのはPro側
3台つなぎたい他機種を検討マルチポイントは2台まで
実機の評価を見たい少し待つレビュー1件、クチコミ0件

判断の分かれ目は「ガラスの音を、どういう形で聴きたいか」です。

Proは2way+バイアンプなので、鳴っている音のどこまでがガラス振動板によるものかは切り分けにくくなります。素材そのものの性格を確かめたいなら、シングル構成のGLASS Coreのほうが素直です。しかも半額で、軽くて、単体では長く鳴る。

逆に、完成された音を求めるならProでしょう。市場がそちらを選んでいるのも事実です。

よくある質問(FAQ)

Q
ガラス振動板は「世界初」ですか?
A

ケンウッドの表記は「業界初」で、注釈に「ワイヤレスイヤホンにおいて(2026年6月11日現在、当社調べ)」とあります。一部の媒体は「世界初」と書いていますが、メーカー自身は範囲を限定した「業界初」という表現を使っています。

Q
ProとGLASS Coreで音は同じですか?
A

同じではありません。ガラス振動板は両方に入っていますが、Proは10mmのガラス振動板にMEMSドライバーを足した2way構成でバイアンプ駆動します。GLASS Coreは10mmのシングル構成です。コーデックはどちらもSBC/AAC/LDACで同じです。

Q
バッテリーはどちらが長持ちしますか?
A

見る条件で入れ替わります。イヤホン単体ならGLASS Coreが長く、ノイズキャンセリングオフで17時間対14.5時間、オンで13時間対12時間。ケース込みの総再生時間ではProが49時間、GLASS Coreが44時間で逆転します。

Q
どこで買うのが安いですか?
A

2026年8月8日時点の価格.comでは、GLASS Coreの最安は25,300円で、最安ショップはAmazon.co.jpでした(全14ショップ中、送料無料)。Proは49,940円で、こちらは価格.comの掲載ではヨドバシ.comと楽天市場が最安です。

Q
同じ価格帯の他社製品と比べてどうですか?
A

25,000円前後は激戦区です。SONY WF-1000XM5が24,466円、JBL LIVE BUDS 4が24,750円。Anker Soundcore Liberty 5 Proが25,737円で、オーディオテクニカ ATH-TWX9MK2が26,970円です。いずれもノイズキャンセリングと装着感を作り込んだ完成品ばかり。総合力で選ぶ価格帯ではなく、ガラス振動板という素材に価値を感じるかどうかが判断軸になります。

Q
ケースは防水ですか?
A

防水対応はイヤホン本体のみで、等級はIPX4です。ケースは対象外なので、雨天や汗をかく場面ではケースの扱いに注意してください。

まとめ

素材が主役の製品ですが、その素材は下位モデルにも同じように入っています。

  • GLASS Core(KH-CRZ90T)は実売25,300円。2026年6月下旬発売、ケンウッド創業80周年記念モデルの第一弾
  • 業界初のガラス振動板。注釈は「ワイヤレスイヤホンにおいて(2026年6月11日現在、当社調べ)」
  • ガラス振動板は上位のProにも下位にも入っている。違いはMEMSを足した2way構成かどうか
  • 単体の再生時間は下位のほうが長い。NCオフで17時間対14.5時間、オンで13時間対12時間
  • ケース込みでは逆転してProが49時間、GLASS Coreが44時間
  • 軽さは一貫してGLASS Core。片耳5.85g、ケース39.2g(Proは6.7g/58.4g)
  • 市場はProを選んでいる。売れ筋10位対91位、お気に入り81人対17人
  • GLASS Coreは価格.comの最安ショップがAmazon.co.jp(全14ショップ中、送料無料)

「ガラスの音を、どういう形で聴きたいか」——この記事の判断はここに尽きます。シングル構成で素材の性格を素直に受け取りたいなら下位、完成された音を求めるなら上位。半額という差は、そのまま設計思想の差です。

現時点での評価

  • 音質:★★★★☆ 4.0(業界初のガラス振動板・10mmシングル・LDAC対応。ただし実機未確認)
  • ノイズキャンセリング:★★★☆☆ 3.5(搭載。ただし「世界最高クラス」を名乗るのはPro側)
  • バッテリー:★★★★☆ 4.5(NCオフ17時間、オンでも13時間はクラス最長級)
  • 携帯性:★★★★☆ 4.0(片耳5.85g、ケース39.2g。ケースはProより19.2g軽い)
  • コスパ:★★★★☆ 4.5(Proの半額で、同じガラス振動板を積んでいる)
  • 総合:★★★★☆ 4.0

急がないなら、実機レビューがもう少し集まってからでも遅くありません。レビュー1件、クチコミ0件という状態で、素材が新しいぶん評価も割れやすいはずです。硬い振動板は解像感が上がる一方で、鳴らし方によっては高域がきつく感じられることもあります。こういう性格は、複数のレビューを読み比べてはじめて輪郭が見えてくる部分です。

逆に、新しい振動板を早めに試したい人にとって、25,300円という入口は十分に手が届く価格だと思います。同じ素材を上位機で味わおうとすれば倍かかるわけですから、試すコストとしてはむしろ良心的です。

同じ価格帯を横断で見ておきたい方は、こちらも参考にどうぞ。

LDACとハイレゾの関係については、別記事で整理しています。

実機レビューが増えて新しい情報が分かり次第、本記事も更新します。

プログラマー。高校時代のWALKMAN+Sonyイヤホンをきっかけに、10年以上にわたってオーディオを中心にガジェットを買い続けています。SONY XBA-A3は今も現役で愛用、Sonyワイヤレスイヤホンは3世代追いかけて進化を体感してきました。得意領域はイヤホン・ヘッドホン、4K有機ELテレビ、ゲーミングマウス、PC周辺機器。「自分が本気で買うつもりで判断軸を作る」スタンスで、後悔のない買い物のための情報を発信しています。

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