今年のAppleの発表は値上げの話ばかりが目立ちましたが、Apple Watchだけは違いました。Series 12のアルミニウム42mm GPSモデルは71,800円、Ultra 4は142,800円。どちらも7月に値上げされたSeries 11とUltra 3の価格と同じで、新モデルになっても1円も上がっていません。iPhone 18 Proが219,800円になった同じ日に、です。
中身は共通です。S11チップ、光学式と電気式の両方を作り直した「Health Sensing System」、毎朝の体調を点数にするReadiness、周囲の音を聞き分けるAudio Intelligence。ここまで同じで、違うのはバッテリーの24時間と50時間、ケースの素材と大きさ、耐水性能、そして価格です。
私はApple Watchを持っていません。ただ、Pixel Watch 5やGarminの新型を追いかけてきた立場から、この2本を「どちらを選ぶか」と「Series 11・Ultra 3から買い替える価値があるか」の2点で整理してみます。日本では当面使えない機能があることも含めて書きます。価格はすべて税込、2026年9月12日時点のApple Store価格で、発売は両機とも9月18日です。
2機種の違いはバッテリー・素材・耐水・価格の4点
| 項目 | Apple Watch Series 12 | Apple Watch Ultra 4 |
|---|---|---|
| ケースサイズ | 42mm/46mm | 49mm |
| 素材 | アルミニウム/チタニウム/セラミック | グレード5チタニウム |
| 前面 | Ceramic Shield 2(アルミ)/サファイア(チタン・セラミック) | フラットサファイアクリスタル |
| ディスプレイ | LTPO3 常時表示、最大2,000ニト | LTPO3 常時表示、最大3,000ニト |
| チップ | S11(デュアルコア、4コアNeural Engine、64GB) | 同左 |
| バッテリー | 最大24時間、低電力モード38時間、屋外ワークアウト10時間 | 最大50時間、低電力モード84時間、屋外ワークアウト18時間 |
| 急速充電 | 約30分で80%(15分で12時間分) | 約45分で80% |
| 耐水 | 50m(WR50)、IP6X | 100m(WR100)、40mレクリエーションダイビング、IP6X、MIL-STD-810H |
| 通信 | Wi-Fi、Bluetooth 5.3、L1 GPS、5G RedCap/LTE(Cellularモデル) | 高精度デュアル周波数GPS、衛星通信(緊急SOS・メッセージ)、5G RedCap/LTE |
| 重量 | 42mm 約32g/46mm 約39g(アルミ) | 約63g |
| 価格 | 71,800円〜168,800円 | 142,800円 |
| 発売日 | 2026年9月18日 | 2026年9月18日 |
Ultra 4はGPS + Cellularモデルのみで、Series 12はGPSモデルがアルミニウムだけに用意されています。表の下の方、耐水と通信の行がUltra 4の存在理由です。
共通の進化:S11と作り直されたHealth Sensing System
センサーの刷新と計測頻度
両機に載る新しいHealth Sensing Systemは、光学式センサーと電気センサーの両方を設計し直したものです。Appleの説明では、より大きく電力効率の高いグリーンLEDを使って、これまでより細かい心臓のデータを取ります。Ultra 4の製品ページには、バックグラウンドでの心拍計測の頻度がUltra 3の60倍という数字があり、これは睡眠中や安静時の変化を細かく拾うための投資です。
第2世代の電気心拍センサー、血中酸素ウェルネス、皮膚温、睡眠時無呼吸の通知といった要素は前世代から継承しています。センサーが増えたのではなく、精度と頻度が上がった世代と理解するのが正確です。

Readinessスコア
毎朝、直近のアクティビティ、バイタル、睡眠を合わせて「今日はどれだけ動ける状態か」を1つの点数で示す機能です。Garminの「ボディバッテリー」やPixel Watchの「レディネス」と同じ発想で、Appleがようやく追いついた形になります。日中の活動に応じてスコアが調整されるので、朝に高くても午後に無理をすれば下がります。

Audio Intelligence
周囲の音を認識して通知する「サウンド認識」と、流れている曲をShazamが自動で表示する機能が入りました。Siri AIとの連携も含めて、手首で音の情報を扱う方向の機能群です。Siri AIそのものは英語で始まり、日本語対応は年内予定とされています。

日本では、高血圧通知が「初期段階では利用できない」
ここは健康目的で買う方に必ず伝えておきたい点です。心拍データから高血圧のパターンを検知して通知する機能があります。これについてAppleの製品ページの脚注には、「日本においては、初期段階ではApple Watch Series 12またはApple Watch Ultra 4で高血圧パターンの通知機能を利用できません」と明記されています。承認待ちの状態で、提供時期の記載はありません。
Series 11でも同じ状況が続いていたので、今回のセンサー刷新で状況が変わることを期待していた方には残念な結果です。血中酸素のウェルネス機能と心電図アプリは日本でも使えます。
もう1つ、Apple Watchは医療機器ではありません。Readinessも心拍の通知も、体調の目安を示すもので、診断の代わりにはなりません。血圧や心臓に不安がある方は、腕時計を買う前に医師の診察を受けてください。
Series 12:Ceramic Shield 2とセラミックケース、24時間駆動
3素材・8色の構成
Series 12はアルミニウム4色(スペースグレイ、ブラック、ライトゴールド、ダークブロンズ)とチタニウム2色(ラディアントゴールド、ナチュラル)。そこに新しいセラミック2色(パールホワイト、ナイトブルー)が加わった構成です。セラミックケースは過去にEditionモデルとして存在しましたが、通常ラインナップに戻ってきたのは久しぶりです。
| 素材・サイズ | GPS | GPS + Cellular |
|---|---|---|
| アルミニウム 42mm | 71,800円 | 89,800円 |
| アルミニウム 46mm | 80,800円 | 98,800円 |
| チタニウム 42mm | — | 125,800円 |
| チタニウム 46mm | — | 134,800円 |
| セラミック 42mm | — | 159,800円 |
| セラミック 46mm | — | 168,800円 |
機能は全モデル同じで、差は素材代とCellularの有無です。アルミの前面ガラスはCeramic Shield 2になり、Appleは従来のIon-Xガラスより60%強いとしています。チタンとセラミックはサファイアです。

バッテリーと充電
最大24時間、低電力モードで38時間はSeries 11から据え置きですが、急速充電が伸びて15分の充電で12時間分が入ります。夜に外して風呂の間に充電し、睡眠計測のために着けて寝る、という運用がやりやすくなりました。屋外ワークアウトは10時間です。
Ultra 4:50時間と衛星通信、価格は据え置き
Ultra 4で変わったのはバッテリーです。通常使用で最大50時間、低電力モードで84時間、屋外ワークアウトで18時間。Ultra 3の42時間から8時間伸びました。45分で80%まで入る急速充電も継続です。
それ以外の要素はUltra 3からの継承が多い。49mmのチタニウムケース、3,000ニトのフラットサファイア画面、100mの耐水と40mまでのダイビング対応、MIL-STD-810H準拠、デュアル周波数GPS。携帯電波の届かない場所で緊急SOSとメッセージを送れる衛星通信もそのままです。

重さは約63gで、Series 12の46mmアルミより24gほど重い。

カラーはナチュラルとブラックの2色で、価格は142,800円です。7月改定後のUltra 3と同額で、発売時の129,800円と比べると13,000円上がっていますが、これは7月の国内改定分です。Ultra 4として新たに上乗せされた金額はありません。
価格の構造:チタンのSeries 12とUltra 4は8,000円しか違わない
| モデル | 発売時 | 7月改定後 | 新モデル |
|---|---|---|---|
| Series 11 → 12(アルミ 42mm GPS) | 64,800円 | 71,800円 | 71,800円 |
| Series 11 → 12(アルミ 46mm GPS) | 69,800円 | 76,800円 | 80,800円 |
| Ultra 3 → Ultra 4 | 129,800円 | 142,800円 | 142,800円 |
42mmは据え置き、46mmは4,000円上がり、Ultra 4は据え置き。ドル価格はSeries 12が399ドル、Ultra 4が799ドルで前世代と同じなので、日本価格の上げ幅は円安分の7月改定で吸収済みということになります。
面白いのはSeries 12のチタニウム46mm Cellular(134,800円)とUltra 4(142,800円)の関係で、差は8,000円です。同じチタン、同じS11、同じセンサーで、8,000円足せば50時間のバッテリーと100mの耐水と衛星通信が手に入る。逆に、Series 12のチタンは軽さと薄さと丸みのあるデザイン、42mmという選択肢を買う値段です。この2つで迷う人は、腕の太さと2日持ちが必要かどうかで決めるのがいいと思います。セラミックの159,800円と168,800円はさらに上で、こちらは完全に素材の好みで選ぶ領域です。
ほかのApple新製品の価格と日程は、発表まとめの記事にあります。
競合との比較:Pixel Watch 5とGarminとの立ち位置
| 項目 | Apple Watch Series 12(アルミ 42mm GPS) | Apple Watch Ultra 4 | Google Pixel Watch 5 |
|---|---|---|---|
| 価格 | 71,800円 | 142,800円 | 62,800円〜 |
| バッテリー | 24時間 | 50時間 | 約24時間(41mm)〜 |
| 対応スマホ | iPhoneのみ | iPhoneのみ | Android |
| 衛星通信 | — | ○ | — |
Pixel Watch 5は9,000円安く、Geminiが腕で動く点で先行しています。ただしApple WatchはiPhoneでしか使えず、Pixel WatchはAndroidでしか使えないので、実際にはスマートフォンの側で選択が決まります。Pixel Watch 5がPixel Watch 4から何を変えたかは以下の記事にまとめました。
Garminのfēnixのようなアウトドア専用機と比べると、Ultra 4の50時間は短い。1週間のトレッキングでは太刀打ちできません。Ultra 4は「2日持つApple Watch」であって、Garminの代わりではないという線引きは必要です。
どんな人におすすめか
初めてのApple Watch → Series 12 アルミニウム GPS
71,800円で新センサーもReadinessもすべて使えます。チタンもセラミックも機能は同じなので、最初の1本は素材にお金をかけないほうが後悔しません。iPhoneが手元にある場面が多いなら、Cellularも不要です。
2日持ちと登山・水泳が条件 → Ultra 4
夜の充電を忘れても翌日まで動く50時間、100mの耐水、衛星通信。この3つのうち2つが必要なら、Ultra 4です。63gの重さは腕の細い方には負担になるので、店頭で着けてみることを勧めます。
チタンの質感が欲しい → 8,000円差で迷う
Series 12のチタン46mm Cellular(134,800円)とUltra 4(142,800円)。軽さと丸みを取るならSeries 12、電池と耐久を取るならUltra 4。この差額なら、私はUltra 4を選びます。
Series 10・11、Ultra 3を使っている人 → 見送ってよい
センサーの精度向上とReadinessは魅力ですが、外観も価格も同じで、日本では高血圧通知も使えません。Series 9以前、あるいはUltra初代・2世代目からの乗り換えなら、バッテリーと画面の差がはっきり出ます。
よくある質問(FAQ)
- QSeries 12とUltra 4のセンサーは同じですか?
- A
同じです。S11チップとHealth Sensing System、Readiness、Audio Intelligenceはすべて共通で、違いはバッテリー・素材・耐水・通信です。
- Q高血圧通知は日本で使えますか?
- A
Appleの公式脚注では「初期段階では利用できない」とされています。提供時期は示されていません。
- QチタニウムやセラミックにGPSモデルはありますか?
- A
ありません。GPSモデルはアルミニウムのみで、チタニウムとセラミックはGPS + Cellularモデルだけです。
- QUltra 4はUltra 3から何が変わりましたか?
- A
S11チップ、新センサー、バッテリーが42時間から50時間へ伸びた点が主な変更です。ケース、画面、耐水性能、価格は据え置きです。
- Q発売日と予約は?
- A
発売は2026年9月18日で、予約は発表と同時の9月10日から受け付けています。
まとめ:値上げの年に据え置かれた、センサー刷新の世代
Series 12とUltra 4は、見た目をほぼ変えずに心拍センサーと計測頻度を作り直し、Readinessという新しい指標を加えた世代です。iPhoneが値上げされた同じ日に、こちらは7月改定後の価格で据え置かれました。一方で日本では高血圧通知が当面使えず、Series 11やUltra 3からの買い替え理由は薄い。買うべき人がはっきりしているモデルです。
- 共通の進化: S11、新Health Sensing System、Readiness、Audio Intelligence
- 違い: 24時間と50時間、WR50とWR100、32gと63g、71,800円と142,800円
- 日本の制限: 高血圧通知は初期段階では利用不可。血中酸素と心電図は使える
- 価格の分岐: チタンSeries 12 46mm Cellular(134,800円)とUltra 4(142,800円)は8,000円差
- 買い替え: Series 9以前・Ultra 2以前からなら差が出る。10・11・Ultra 3は見送り可
項目別評価
Series 12を主役に、Ultra 4との差分も踏まえて5項目で採点します。
- 健康センサー:★★★★☆ 4.5(光学・電気センサー刷新、Readiness、計測頻度向上)
- バッテリー:★★★☆☆ 3.5(Series 12は24時間据え置き、急速充電は15分で12時間分。Ultra 4なら4.5)
- デザイン・素材:★★★★☆ 4.0(セラミック復活、Ceramic Shield 2、外観は据え置き)
- 日本での機能:★★★☆☆ 3.0(高血圧通知が初期段階で利用不可、Siri AI日本語は年内)
- コスパ:★★★★☆ 4.0(42mm GPS据え置き71,800円、Ultra 4も据え置き)
- 総合:★★★★☆ 4.0
私自身はGarminやPixel Watchの新型を追いかけながら、Apple Watchはずっと様子見でしたが、Ultra 4の50時間と据え置き価格は、初めて「これなら」と思えた組み合わせでした。初めての1本ならアルミのSeries 12を、2日持ちが条件ならUltra 4を、9月18日の発売日にぜひ店頭で着けてみてください。



