AirPods 4には、ちょっと意地悪な値付けがありました。ノイズキャンセリングが欲しければ9,000円高いほうを買ってください、という2段構えです。オープン型でANCが効くこと自体が珍しかったので、その差額を払う人は多かったと思いますが、「なぜ同じ形で2つあるのか」と店頭で首をかしげた方もいたはずです。
9月10日に発表されたAirPods 5は、その構造をやめました。標準モデルの23,800円にもワイヤレス充電ケース付きの27,800円にも、アクティブノイズキャンセリングが載っています。7月の改定後にAirPods 4のANCモデルが32,800円だったことを思うと、ANC付きの入口が9,000円下がった計算です。ANCの効きもAirPods 4比で最大1.5倍とAppleは説明しています。
私はAirPods Pro 3を発売以来使っていて、密閉型のANCがどこまで静かになるかは体で知っています。この記事では、その立場からAirPods 5で変わった点、2モデルの4,000円差の中身、そしてPro 3との15,000円差が何を意味するかを整理してみました。発売は9月18日で、予約はすでに始まっています。価格はすべて税込、2026年9月12日時点のApple Store価格です。
製品スペック一覧
| 項目 | AirPods 5 | AirPods 5(ワイヤレス充電ケース付き) |
|---|---|---|
| 価格 | 23,800円 | 27,800円 |
| チップ | H2 | H2 |
| ノイズキャンセリング | ○(AirPods 4比 最大1.5倍) | ○(同左) |
| 適応型オーディオ/外部音取り込み | ○ | ○ |
| バッテリー(ANCオン) | 本体4時間/ケース込み20時間 | 本体5時間/ケース込み22時間 |
| 5分充電 | 約1時間分 | 約1時間分 |
| ケースの充電 | USB-C | USB-C、Qi、Apple Watch充電器 |
| ボリュームスワイプ | — | ○ |
| ケース内蔵スピーカー(探す) | — | ○ |
| ライブ翻訳 | ○(ベータ) | ○(ベータ) |
| 防塵・耐汗耐水 | IP57 | IP57 |
| 重量 | イヤホン4.3g、ケース32.3g | イヤホン4.3g、ケース34.7g |
| 接続 | Bluetooth 5.3 | Bluetooth 5.3 |
| 発売日 | 2026年9月18日 | 2026年9月18日 |
イヤホン本体は2モデルで同じです。違いはケースにあり、その差が4,000円とバッテリー1時間分になっています。
ANCが標準になった。ただしオープン型の限界は変わらない
「最大1.5倍」の読み方
AirPods 5は耳を塞がないオープン型のまま、両モデルにアクティブノイズキャンセリングを載せました。AppleはAirPods 4のANCモデルと比べて最大1.5倍の効きとしています。H2チップは継続で、新設計のドライバーとハイダイナミックレンジアンプがこの数字を支えているという説明です。
ここで期待値を正しく置いておきたい。私が使っているAirPods Pro 3は、シリコンのイヤーチップで耳を密閉した上でANCをかけるので、電車の走行音やエアコンの唸りがほぼ消えます。オープン型はその密閉がありません。物理的に遮れない音を電気的に打ち消すので、低い音は薄くなっても、人の声や高い音は残ります。1.5倍になっても、Pro 3の静けさとは別物です。

逆に言えば、AirPods 5のよさはそこにあります。耳の圧迫感がなく、長時間つけていても疲れにくく、外した瞬間の耳の解放感がない。カナル型が苦手でANCを諦めていた人にとって、「電車の音が少し遠くなる」だけでも価値があるはずです。

適応型オーディオと外部音取り込み
周囲の騒音に応じてANCと外部音取り込みを自動で切り替える適応型オーディオ、会話を始めると音量を下げる機能は、AirPods 4のANCモデルから引き継いでいます。オープン型は外部音取り込みが自然で、これは密閉型では真似しにくい点です。
2モデルの差は4,000円。ワイヤレス充電ケースで何が増えるか
- ボリュームスワイプ: ケースの側面を上下になぞって音量を変える操作。iPhoneを取り出さずに音量を調整できる
- ケース内蔵スピーカー: 「探す」でケースの位置を音で知らせる。ソファの隙間に落ちたケースを鳴らして見つけられる
- Qi充電とApple Watch充電器: ケースをワイヤレス充電パッドや手持ちのApple Watch充電器に置くだけで充電できる
- バッテリー+1時間: ANCオンで本体5時間、ケース込み22時間。標準モデルは4時間、20時間

イヤホン本体の音とANCは同じなので、4,000円はケースの利便性代です。私はPro 3のケースをMagSafe充電器に置きっぱなしにしていて、ケーブルを挿す動作が生活から消えたことの快適さを知っています。その体験を買うなら27,800円のほう、USB-Cで困らないなら23,800円で十分です。
Qiは多くのワイヤレス充電器が対応する共通規格で、Qi2はそこに磁石での位置合わせを加えたものです。AirPods 5のケースはQi対応で、どの充電器が使えるかの見極めは以下の記事が参考になります。
ライブ翻訳とSiri AI
AirPods 5はライブ翻訳(ベータ)に対応します。相手の言葉をイヤホンで聞きながらiPhoneが翻訳し、自分の言葉を相手の言語で画面に出す、という使い方です。AirPods Pro 3で2025年に始まった機能がオープン型に降りてきました。対応言語はベータの範囲で順次拡大しており、日本語での実用性は使う言語の組み合わせによります。
Siri AIとのハンズフリー連携も入りますが、Siri AI自体の日本語対応は年内予定です。日本の読者にとって、この2つは「発売時点で全部使える機能」ではない、と見ておいたほうがいい。
価格の構造:ANC付きの入口が32,800円から23,800円へ
| モデル | 発売時 | 7月改定後 | ANC |
|---|---|---|---|
| AirPods 4 | 21,800円 | 23,800円 | — |
| AirPods 4(ANC搭載) | 29,800円 | 32,800円 | ○ |
| AirPods 5 | — | 23,800円 | ○ |
| AirPods 5(ワイヤレス充電ケース付き) | — | 27,800円 | ○ |
| AirPods Pro 3 | 39,800円 | 42,800円 | ○(密閉型) |
AirPods 5の標準モデルは、7月改定後のAirPods 4(ANCなし)と同じ23,800円です。同じ値段でANCが付いた、という見方も、ANC付きが9,000円下がった、という見方もできますが、どちらにしてもAirPods 4のANCモデルを検討していた人には朗報でしょう。ドル価格は129ドルと149ドルで、こちらもAirPods 4の2モデルと同額です。
AirPods Pro 3との差は、ワイヤレス充電版でも15,000円あります。
AirPods Pro 3との違い:密閉型かオープン型か、心拍センサーの有無
| 項目 | AirPods 5(ワイヤレス充電ケース付き) | AirPods Pro 3 |
|---|---|---|
| 価格 | 27,800円 | 42,800円 |
| 形状 | オープン型(イヤーチップなし) | カナル型(イヤーチップあり) |
| ANC | ○(オープン型) | ○(密閉型、より強力) |
| 心拍センサー | — | ○ |
| バッテリー(ANCオン) | 5時間/22時間 | 8時間/24時間 |
| 防塵・耐汗耐水 | IP57 | IP57 |
| ライブ翻訳 | ○ | ○ |
Pro 3を選ぶ理由は、静けさと心拍センサーとバッテリーです。飛行機や騒がしいカフェで集中したい、ランニング中の心拍を取りたい、という人はPro 3。カナル型が苦手、装着感を優先したい、ANCは「少し効けば十分」という人はAirPods 5です。私はPro 3を使い続けますが、家で長時間つけっぱなしにする用途ならAirPods 5のほうが楽だろうと思っています。Pro 3のANCがどの程度のものかは、以下のレビューで書きました。
どんな人におすすめか
カナル型が苦手でANCを諦めていた人
耳を塞がずにノイズを薄くできるのはオープン型ANCだけです。AirPods 5はその選択肢が23,800円まで下がった、という製品です。
AirPods 4のANCモデルを検討していた人
同じ形で9,000円安く、ANCは1.5倍。迷う理由はありません。ワイヤレス充電が要るかどうかだけ決めれば十分です。
AirPods Pro 3を持っている人には不要
静けさもバッテリーも心拍もPro 3が上です。買い足すなら「家用の楽なイヤホン」としてで、置き換えにはなりません。
Androidも使う人は別の選択肢を
AirPodsの機能はiPhoneとの組み合わせで完結します。Androidと併用するなら、Sony WF-1000XM6のようなマルチポイント対応機のほうが使いやすい。2026年の候補は以下にまとめています。
よくある質問(FAQ)
- QAirPods 4は併売されますか?
- A
Apple Storeのラインナップでは、AirPods 5がAirPods 4の位置を引き継いでいます。AirPods 4の在庫は販売店によって残る場合があります。
- QANCはAirPods Pro 3と同じくらい効きますか?
- A
効きません。オープン型は耳を密閉しないため、低い音は薄くなっても人の声や高い音は残ります。Pro 3の静けさを期待するなら密閉型を選んでください。
- Qワイヤレス充電ケース版だけの機能は?
- A
ボリュームスワイプ、探す機能用のケーススピーカー、QiとApple Watch充電器での充電、バッテリー1時間分の延長です。イヤホン本体は同じです。
- QIP57とは何ですか?
- A
防塵5等級・防水7等級で、粉塵の侵入をほぼ防ぎ、水深1mに30分浸けても耐える規格です。イヤホンとケースの両方が対応します。
- QどのiPhoneで使えますか?
- A
最新のiOSを搭載したiPhoneで全機能が使えます。ライブ翻訳とSiri AIはApple Intelligence対応のiPhoneが必要です。
まとめ:オープン型ANCの入口が23,800円になった
AirPods 5は、音や形の劇的な進化というより、価格構造を整理した世代です。ANCが両モデルに載り、AirPods 4のANCモデルより9,000円安く、効きは1.5倍。4,000円のワイヤレス充電ケース版はケースの利便性代で、イヤホンは同じ。Pro 3の静けさには届かないという前提さえ持っていれば、オープン型として選びやすい製品になりました。
- ANC標準化: 両モデルに搭載、AirPods 4比で最大1.5倍
- 価格: 23,800円/27,800円。ANC付きの入口が9,000円下がった
- 2モデルの差: ボリュームスワイプ、ケーススピーカー、Qi充電、+1時間
- 限界: オープン型なのでPro 3の遮音とは別物。心拍センサーもなし
- 日本での注意: ライブ翻訳はベータ、Siri AI日本語は年内
カナル型が苦手な人と、AirPods 4のANCモデルを検討していた人に勧められます。Pro 3を持っているなら、買い足す理由は「家用の楽さ」だけです。
項目別評価
コスパ目線で5項目を見ると、こんな評価に落ち着きます。
- 音質:★★★★☆ 4.0(H2+新設計ドライバー、オープン型として。実機未検証のため公開情報ベース)
- ノイズキャンセリング:★★★☆☆ 3.5(AirPods 4比1.5倍、オープン型の限界あり)
- バッテリー:★★★☆☆ 3.5(ANCオン4〜5時間、ケース込み20〜22時間)
- 装着感・機能:★★★★☆ 4.5(圧迫感なし、ボリュームスワイプ、ライブ翻訳)
- コスパ:★★★★★ 5.0(ANC付き23,800円、前モデル比−9,000円)
- 総合:★★★★☆ 4.0
私自身はPro 3の遮音に慣れてしまったので、AirPods 5は家で作業中につけっぱなしにする用途で試してみるつもりです。カナル型の圧迫感でイヤホンを遠ざけていた方は、9月18日の発売日にぜひ一度、耳に載せてみてください。




