離れて暮らす親が、ちゃんと起きているか、暑い部屋で過ごしていないか。電話するほどではなくても、様子が見えたら安心できる——高齢の親のために見守りカメラを調べ始める理由は、たいていこのあたりだと思います。ところが実家にWi-Fiがないと、そこで話が止まりがちです。
そこで、Amazonで買える4ブランド(TP-Link Tapo・SwitchBot・パナソニック・ATOM)の公式仕様と、回線各社の料金ページを1つずつ確かめてみました。分かったのは、どのカメラもインターネット回線と2.4GHzのWi-Fiが必要だということ。そしてカメラ本体は3,000円台から買える一方で、毎月の費用は回線の用意のしかたでほぼ決まります。
この記事では、実家の回線の状況ごとに選ぶ道を分け、回線の費用と注意点、3,000円台からの5機種、親の同意の取り方までを整理しました。情報と価格は2026年10月31日時点です。
見守りカメラはWi-Fiが必須|SDカード録画だけでは離れて見られない
今回調べた4ブランドの見守りカメラは、すべてインターネットにつながった2.4GHz帯のWi-Fiが必要です。5GHz帯には対応していません。
microSDカードへの録画だけなら、回線がなくても後から映像を見返せる場合はあります。ただ、それでは離れた場所から「今」の様子を確かめるという、見守りのいちばんの目的を果たせません。実家に回線がないなら、まず回線をどう用意するかを決めることになります。
SIMカードを内蔵したカメラもAmazonにありますが、本体が1万円を超え通信費も別にかかり、公式の仕様を確かめられない海外ブランドが中心なので、ここでは勧めません。
実家の回線の状況で、用意するものは3通りに分かれる

実家に光回線などのインターネット回線があり、Wi-Fiも飛んでいるなら、カメラを買って2.4GHzのWi-Fiにつなぐだけで済みます。いちばん安上がりです。パナソニックのカメラは、回線の条件(後述)を満たす家なら候補に入ります。
光回線はあってもWi-Fiルーターが古いなら、親に設定し直してもらわずに入れ替える方法を別の記事でまとめています。
Wi-Fiがない実家は、ホームルーターかモバイルルーターで回線を用意するか、回線内蔵のドコモ「ちかく」に任せるかの2択になります。
Wi-Fiがない実家に回線を引く|ホームルーターは月4,840円から
コンセントに挿すだけでWi-Fiができるホームルーターは、5社の割引前の月額が4,840円〜5,500円(税込、10月31日時点)でした。12月1日にSoftBank Airが5,698円へ値上げし、上限はそこまで上がります。使った量で料金が変わる楽天モバイル+モバイルルーターなら、さらに安くなりえます。
| 回線 | 月額(割引前・税込) | 初期費用 | 住所の条件 |
|---|---|---|---|
| Rakuten Turbo | 4,840円 | 事務手数料3,300円 | 登録した設置先住所のみ |
| ドコモ home 5G | 5,280円 | オンライン無料(店頭4,950円) | 登録した設置場所住所のみ |
| UQ WiMAX(ホームルーター) | 5,280円(13か月間は4,598円) | 登録料3,300円 | 公式ページで記載を確認できず |
| SoftBank Air | 5,368円(12月1日から5,698円) | 事務手数料4,950円 | 登録住所のみ(契約者の自宅住所) |
| au ホームルーター 5G | 5,500円(13か月目まで4,950円) | ページに金額の記載なし | 契約住所のみ |
| 楽天モバイル+モバイルルーター | 1,078円〜3,278円(使った量で変動。最強家族割で110円引き) | 事務手数料無料(4回線目まで) | 住所の制限の記載なし |
引用: https://network.mobile.rakuten.co.jp/internet/turbo/fee/
引用: https://www.docomo.ne.jp/home_5g/
引用: https://www.uqwimax.jp/wimax/plan/gigahodai_plus_s/
引用: https://www.softbank.jp/internet/air/price/
引用: https://www.au.com/mobile/charge/data/plan/homerouterplan-5g/
引用: https://network.mobile.rakuten.co.jp/fee/saikyo-plan/
楽天モバイルは3GBまで1,078円、無制限で3,278円です。「最強家族割」を使うと各110円引きで、3GBまでなら968円になります。ホームルーターはどれも2.4GHzのWi-Fiを出せます。
◆ 「誰の名義で、どこに置くか」は申し込む前に確認する
ホームルーターは登録した住所でしか使えない会社がほとんどです。ドコモは契約者の住所と別に設置場所を申告する方式ですが、SoftBank Airは契約者の自宅住所を登録するよう案内しています。子どもが契約して実家に置けるかどうかは会社ごとに扱いが違うので、申し込む前に各社へ確認してください。電波が届くかは各社のエリアマップで確かめ、UQ WiMAXなら15日間の無料お試し(Try WiMAX)も使えます。
◆ 「実質0円」は36〜48か月使い続けるのが条件
端末代を毎月の割引で相殺する「実質0円」は、36〜48か月使い続けた場合の話です。途中で解約すると割引が止まり、端末代の残りを払うことになります。親の入院や施設への入所、同居で回線がいらなくなることもあるので、残りの支払いは契約前に確かめておきましょう。
◆ 安く抑えるなら楽天モバイル+モバイルルーター
楽天モバイルで申し込むと1円になる「Rakuten WiFi Pocket Platinum」は、Wi-Fiが2.4GHz帯のみで、カメラ側が2.4GHz専用でも困りません。ただ、楽天回線が室内で入るかは家しだいで、電池内蔵の端末を充電しっぱなしで置くことになります。SwitchBotもモバイルWi-Fiでは不安定になりうると注記しています。
◆ カメラの通信量は思ったより少ない
SwitchBotの公表値では、見守りカメラ(1080P)のライブ視聴は約3MB/分、見ていないときは1時間1MB未満です。毎日10分見ても計算上は月約1.2GB(クラウド録画は別)なので、まずは余裕のあるプランで始め、後から見直すのが無難でしょう。
回線ごと任せるならドコモ「ちかく」|親から呼べるが録画はない
ドコモ「ちかく」は、回線内蔵の家型端末をテレビ(HDMI)とコンセントにつなぐカメラ付きのテレビ電話で、実家のWi-Fiも工事もいりません。レンタルプランは月3,278円(税込、事務手数料2,980円は別)で、テレビ電話は月360分まで。最低利用期間は3か月で、端末を39,600円で買う月1,980円のプランもあります。
見守りカメラにない強みは、親の側から家族を呼べることです。専用リモコンのボタンを数回押すと子どもへ発信できます。カメラ4ブランドは「子どもが見て、子どもから話しかける」道具で、親から呼ぶ機能は公式に確認できませんでした。
一方で録画の機能はなく、端末は普段からカメラのAIで在室を判定しています(画像は保存しないと公式は説明)。親が許可すれば、生活ログや、親の操作なしで部屋の映像と音声を確かめる機能も使えます。「映されるのが嫌」な親には、ふつうのカメラと同じく説明と同意が要ります。
毎月の費用はカメラではなく回線で決まる

カメラはmicroSDに録画するなら月額0円です。クラウド録画を使う場合だけ、いちばん安いプランで月280〜440円ほどが加わります。
Wi-Fiがない実家では、カメラに月4,840円からのホームルーターを足すか、月3,278円の「ちかく」に任せるかの比較になります。ちかくは最安のホームルーターより月1,562円安い代わりに、録画ができず、HDMI端子と通話時間の上限という条件が付きます。
3,000円台から買える見守りカメラ5機種|違いはレンズを隠せるか
5機種とも水平360°の首振りに対応し、夜間も赤外線で映せます。大きく違うのは、レンズを物理的に隠せるかと、クラウド録画の料金です。
| 機種 | 価格 | 画質 | レンズを隠す方法 | クラウド録画(月額) |
|---|---|---|---|---|
| SwitchBot 見守りカメラ(1080P) | 公式直営店 3,780円 | 1080P | 手動で閉じる | 製品ページに料金の記載なし |
| SwitchBot 見守りカメラPlus 3MP | 公式直営店 3,980円 | 3MP・暗所でカラー | 本体の中に伏せる | 400円〜 |
| TP-Link Tapo C200 | Amazon 3,642円 | 1080p | アプリで停止のみ | 400円(iOS) |
| TP-Link Tapo C225 | 市場想定 8,690円(2023年発売時) | 2K | 物理的に隠れる+本体ボタン | 400円(iOS) |
| ATOM Cam Swing | 公式ストア 6,980円 | 1080p | 内側に回転して隠れる | 280円〜 |
この記事の価格について
価格は2026年10月31日時点で確認した参考値です。SwitchBotとATOMはメーカーの直営店、Tapo C200はAmazonの価格、Tapo C225は発売時の市場想定価格で、TP-Linkは希望小売価格を出していません。Amazonの価格は時期や出品者で動き、Tapo C200は4,180円と表示されていたこともあります。セールで安くなることもあるので、購入前に最新の価格をご確認ください。
SwitchBot 見守りカメラ(1080P)
- 強み: 3,780円と今回いちばん安く、レンズを手で物理的に閉じられる
- 気になる点: microSDは最大128GB。クラウド録画の料金は製品ページに載っていない
- 向いている家: まず安く試したい。親に「閉じれば映らない」と目で見せたい
SwitchBot 見守りカメラPlus 3MP
- 強み: 200円の差で3MPになり、暗い場所でもカラーで映せる。プライバシーモードではレンズが本体の中に伏せる
- 気になる点: ライブ視聴の通信量は約7MB/分と、1080P機の倍以上。製品ページに「双方向」の文言は見当たらない(マイクとスピーカーは内蔵)
- 向いている家: 夜の様子もはっきり見たい。家族で映像を共有したい(ホームのメンバーに共有できる)
TP-Link Tapo C200
- 強み: 家族を招待する「デバイスの共有」に対応。日本向けの現行版(V5)は2026年8月にもファームウェアを更新
- 気になる点: プライバシーモードはアプリで録画を止める方式で、レンズは隠れない
- 向いている家: 兄弟姉妹など複数人で見守りたい
TP-Link Tapo C225
- 強み: 本体のボタンでレンズを物理的に隠せるので、親が自分で操作できる。2K画質で、大きな音を知らせる「異常音検知」もある
- 気になる点: 今回の5機種では価格が高め。家族への「デバイスの共有」は製品ページで確認できなかった
- 向いている家: 親が自分で「今は映さない」を選べる形にしたい
ATOM Cam Swing
- 強み: プライバシーモードでレンズが内側に回って隠れる。クラウド録画が月280円〜と安く、2026年10月22日にもファームウェアを更新
- 気になる点: microSDは32GBまで。Amazonでは公式ストアより高い表示だった
- 向いている家: クラウド録画を安く使いたい
パナソニック KX-HDN215|温度の通知はあるが光回線の家向け
パナソニックのHDペットカメラ KX-HDN215は、部屋の温度が設定した範囲を外れると知らせてくれる点が他社にない特徴です。ただしメーカーのFAQは、スマホで見る条件にグローバルIPアドレスとUPnP対応のルーターを挙げ、モバイルルーター経由は「推奨しておりません」としています。auのホームルーターはプライベートIP、UQはグローバルIPオプションが使えないと明記しているため、ホームルーターやモバイルルーターで回線を用意する実家には勧められません。光回線でも契約によってはグローバルIPアドレスが付かないので、条件を確かめられる家向けです。
親の同意と置き場所|映さない場所と時間を一緒に決める
家庭の見守りカメラについて、同意の取り方を定めた国や自治体の決まりは見つかりませんでした。ただSwitchBotは「必要に応じて撮影の案内や同意取得」を、「ちかく」は生活ログに「親の承諾」を求めています。法律で決まった手順ではありませんが、メーカー自身が勧める手順として、置く前に親と話しておきましょう。
トイレ・浴室・脱衣所・寝室は映さない、着替える時間帯はプライバシーモードにする、といった線引きを一緒に決めておくと、親も受け入れやすくなります。

止まっても通知は来ない前提で|安全に使う4つの習慣
カメラ4ブランドでは、カメラが止まったときに自動で知らせる機能を公式資料で確認できませんでした。映像が見られなくても、親に何かあったとは限らず、停電やコンセント抜け、回線の混雑でも止まります。
- 電源を守る: ルーターとカメラのコンセントは抜けにくい場所に挿し、親に「これは抜かないで」と伝えておく
- 週に一度は映像を開く: 動いているかを確かめ、停電のあとは録画が戻ったかも見る
- パスワードを長くする: アプリのアカウントと、新しく置いたルーターの管理用パスワードは初期値のままにしない
- 更新とサポートを確かめる: ファームウェアを最新にし、サポートが終わった機器や中古品は避ける
後半の2つは、総務省が2025年12月に出したネットワークカメラの注意喚起に沿ったもので、サポートが終わった機器は買い替えも検討するよう求めています。ルーターの更新がいつまで続くかは、別の記事で調べました。
引用: https://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/kinkyu02_000627.html
転倒や急病はカメラの役目ではない|緊急通報と補助の確認先
比べた4ブランドに、転倒検知をうたう機種はありません。パナソニックも自社の見守りサービスを、緊急事態を通知するものではないと明記しています。見守りカメラはあくまで「様子を見に行く代わり」で、急に具合が悪くなったときは119番、日ごろの備えには緊急通報装置が役目を担います。
緊急通報装置は多くの自治体が貸し出していて、静岡市のように無料でも固定電話が条件という例があります。見守り機器の補助も、墨田区(初期費用に上限1万円)や横浜市(月額最大1,000円)のように登録された機器が対象の制度が中心です。市販のカメラが補助や介護保険の対象になる根拠は見つかりませんでした。
対象や費用は市区町村ごとに違うので、実家のある市区町村の高齢者福祉の窓口か、地域包括支援センターに一度問い合わせてみてください。持病があったり転倒が心配だったりするなら、カメラを選ぶ前に、かかりつけ医やケアマネジャーにも相談しておきましょう。
カメラが合わない親には|ポット・電球・照明型の見守り
映されたくない親には、映像を使わない見守りがあります。通信機を内蔵した象印の電気ポット「みまもりほっとライン」や、SIM内蔵の電球「ハローライト」は、使った・点けたことだけを家族に伝えます。照明型のパナソニック「あかりdeみまもり」は2.4GHzの無線LANルーターが必要です。
よくある質問(FAQ)
- QWi-Fiがない実家でも見守りカメラは使えますか?
- A
ホームルーターや楽天モバイル+モバイルルーターで回線を用意すれば使えます。回線ごと任せるなら、回線内蔵のドコモ「ちかく」もあります。
- Q月額費用はかかりますか?
- A
microSDに録画するならカメラの月額は0円で、クラウド録画はいちばん安いプランで月280〜440円ほどです。Wi-Fiがない実家では回線代が加わります。
- Q会話はできますか?親の側から呼び出せますか?
- A
子どものスマホアプリから話しかける形が基本で、親から呼び出す機能は公式に確認できませんでした。親からも呼びたいなら、リモコンで発信できる「ちかく」や、Wi-Fiがあれば声で通話をかけられるEcho Showが候補です。
- Q家族みんなで見られますか?
- A
Tapo C200は家族を招待する「デバイスの共有」、SwitchBot Plus 3MPは「ホームのメンバーへの共有」に対応しています。ちかくはオーナーを含めて10人までアプリを使えます。
- Q介護保険や補助金は使えますか?
- A
市販の見守りカメラが介護保険の対象になる根拠は見つからず、自治体の補助も登録された機器が中心です。実家のある市区町村の窓口か地域包括支援センターで確認してください。
- Q親がカメラを嫌がったらどうすればいいですか?
- A
映さない場所と時間を一緒に決め、レンズを物理的に隠せる機種を選ぶと受け入れてもらいやすくなります。難しければ、ポットや電球など映像を使わない見守りもあります。
まとめ
見守りカメラ選びで最初に決めるのは、カメラではなく実家の回線でした。Wi-Fiがない実家では毎月の回線代のほうがずっと大きく、名義や設置住所、途中解約の残債まで含めて選ぶ必要があります。
- 回線とWi-Fi: 4ブランドとも、インターネット回線と2.4GHzのWi-Fiが必要
- Wi-Fiがない実家: ホームルーターは月4,840〜5,500円(12月1日から上限5,698円)。楽天モバイル+モバイルルーターならもっと安くなりうる
- 回線ごと任せる: 「ちかく」は月3,278円で、親から呼べるが録画はない
- カメラ: 安さならSwitchBot 見守りカメラ(1080P)、親が自分で隠せる形ならTapo C225
- 限界: 転倒や急病の通報はカメラの役目ではない
親のための買い物では、テレビの音が聞こえにくい親向けのイヤホン・スピーカーも聞こえ方別に整理しています。
私自身、見守りカメラは持っていないので、今回はすべて各社の公式情報から調べました。そのなかでいちばん意外だったのは、カメラの性能差より、回線の契約条件の差のほうがずっと大きかったことです。帰省のついでに実家の回線とコンセントの位置を見ておくだけでも、選ぶ道はぐっと絞れます。親と話し合いながら、ぜひ納得できる1台を手に取ってみてください。



