XRグラスの国内市場は、この夏から秋にかけて一気に世代が入れ替わりました。8月20日にVITUREが「VITURE Pro 2」を49,880円で出し、9月4日にはRayNeoが「RayNeo GT Max」を67,980円(発売記念62,980円)で追いかけてきた形です。どちらも「寝転んで大画面で観る」用途の本命で、価格帯もほぼ重なります。
ただ、この2本は似ているようで設計思想がはっきり違います。GT Maxは本体にトラッキングチップを積んで画面を空中に固定できる代わりに78g。VITURE Pro 2は空間固定を捨てて63gと5万円切りを実現し、近視用の視度ダイヤルを内蔵しています。つまり「空間固定を取るか、15gの軽さと1.3万円の差を取るか」が最初の分かれ目です。
この記事では、公式スペックと国内実機レビューをもとに両機種を並べ、視野角・重量・視度調整・接続機器別の総額という4つの軸で選び分けを整理します。価格はすべて税込、2026年9月5日時点で確認したものです。どちらを買うか迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
今回比較する2機種・発売日リスト
| 製品 | 発売日 | 価格 | 販売 |
|---|---|---|---|
| RayNeo GT Max | 2026年9月4日 | 通常67,980円/発売記念62,980円(公式ストア。Amazonはクーポン適用で同額) | RayNeo公式・Amazon |
| VITURE Pro 2 | 2026年8月20日 | 49,880円 | VITURE公式・Amazon |
GT Maxの発売記念価格は公式ストアでの表示で、Amazon.co.jpでは本体67,980円にクーポンを適用すると62,980円になる形です。時期によって条件が変わるので、購入時は両方の売り場を確認してください。
基本スペック比較表
数値はいずれもメーカー公称値です。GT Maxはプレスリリースと公式ストア、VITURE Pro 2はプレスリリースと当サイトの単体解説記事から転記しています。
| 項目 | RayNeo GT Max | VITURE Pro 2 |
|---|---|---|
| パネル | 0.6インチ SeeYa製Micro-OLED(片眼1920×1080) | ソニー製Micro-OLED(片眼1920×1080) |
| リフレッシュレート | 2D 120Hz/3D 60Hz | 最大120Hz |
| 輝度 | 非固定モード1,200ニト/固定モード336ニト | 最大1,600ニト |
| 視野角 | 59° | 50° |
| 仮想画面 | 227/267/307インチ相当(3段階) | 146インチ相当 |
| 光学系 | Peacock Optical Engine 3.0 Max | Birdbath「UltraClarity 3.0」 |
| 空間固定(3DoF) | ○ Zone 360チップ内蔵(固定/安定/追従) | ×(ソフト処理のみ) |
| 重量 | 約78g | 公称63g |
| 音 | 4スピーカー(Audio by Bang & Olufsen) | 内蔵スピーカー |
| 視度調整 | 内蔵なし(提携Lensologyの度付きインサート) | 内蔵ダイヤル 0〜-5.0D |
| IPD | S/M/Lの3サイズから購入時に選択 | 57.0〜71.0mm対応 |
| 接続 | USB-C(DisplayPort Alt Mode) | USB-C(DisplayPort Alt Mode) |
どちらも120Hz駆動で、映像の滑らかさに差はありません。Hzの数字が目の疲れや没入感にどう効くかは、用語解説で整理しています。
RayNeo GT Max の特徴・おすすめポイント
特徴・強み
GT Maxの看板は視野角59°です。Birdbath方式のXRグラスは46〜50°が相場で、59°は現行機の中で頭ひとつ抜けています。仮想画面はS/M/Lのサイズ選択に応じて227/267/307インチ相当と表記されますが、これは6m先に置いた場合の換算値。読者が体感するのは「視野に占める画面の大きさ」なので、比較は視野角で行うのが正確です。
もうひとつの柱が、本体内蔵の空間コンピューティングチップ「Zone 360」です。頭を動かしても画面が空中に留まる「固定モード」、画面が顔についてくる「追従モード」、その中間の「安定モード」を本体だけで切り替えられます。映像処理には別途「Vision 4000」チップを載せ、2D映像の3D変換やネイティブ3D再生にも対応します。
音はBang & Olufsenがチューニングした4スピーカー構成で、空間オーディオ対応。色域はDCI-P3カバー率98%、コントラスト比200,000:1、色差ΔE<2と、映像用として細かい数字まで公開しているのも特徴です。
実機レビューでの評価
GAME Watchの実機レビューでは、視野角が広いほど画面が大きく感じられ、没入感が高まると評価されています。一方で、遮光レンズが固定式で明るさに応じた調整ができない点が課題として挙げられました。別売のレンズシェード(2,800円)で補う設計です。
もうひとつ、公式の製品仕様で見落とせないのが輝度の但し書きです。1,200ニトは非固定モードの数字で、空間固定モードでは336ニトに下がると明記されています。固定モードの処理で表示領域の一部を使うためとみられ、GT Maxの目玉機能を使うほど画面は暗くなる関係にあります。
こんな人におすすめ
画面を空中に固定して、ソファに座ったまま首を動かしても映像が視界から逃げない使い方をしたい人。視野角の広さを最優先にする人。Dolby Visionや3D映像まで楽しみたい人(Pocket TV Pro 29,000円が別途必要です)。
VITURE Pro 2 の特徴・おすすめポイント
特徴・強み
VITURE Pro 2の強みは軽さと明るさ、そして価格です。公称63gはGT Maxより15g軽く、旧VITURE Proの77〜78gから約2割減。最大1,600ニトという輝度はメーカー公称値で測定条件が非公開ですが、AV Watchの実機レビューでは競合より体感的に明るいと報告されています。
見逃せないのが、左右独立の近視調整ダイヤル(0〜-5.0D)を内蔵している点です。この範囲の近視ならメガネもインサートも要らず、裸眼でそのままかけられます。IPDは57.0〜71.0mm対応で、テンプル3段階とノーズパッド3種で装着調整の幅も広い。
価格は49,880円。GT Maxの発売記念価格62,980円と比べて13,100円安く、通常価格67,980円との差は18,100円に開きます。
実機レビューでの評価
軽さと明るさは実機レビューで裏付けられている一方、HDR10非対応、画面端にわずかな滲みが残る、輝度調整の刻みが粗いといった指摘があります。そして最大の割り切りが、トラッキングチップ非搭載で画面の空間固定ができないこと。正面視聴に特化した設計です。
こんな人におすすめ
寝転んで正面の映像を観る使い方が中心で、軽さを優先したい人。近視-5.0Dまでで裸眼運用したい人。5万円以内に収めたい人。
単体の詳しい解説とXREAL Oneとの比較は、別記事にまとめています。
分かれ目① 空間固定 — 本体チップの有無で使い方が変わる
2機種の最大の差はここです。GT MaxはZone 360チップを本体に持ち、接続先がスマホでもPCでも、グラス単体で画面を空中に固定できます。VITURE Pro 2にはこの機能がなく、3DoF的な体験は接続機器側のアプリ処理に頼ります。
ただし前述のとおり、GT Maxの固定モードは輝度が336ニトまで落ちます。明るい部屋で固定モードを常用するなら、レンズシェードの追加が前提になると考えておいたほうが安全です。
この差が効く場面は2つあります。ひとつは「首を動かす視聴」。ソファで隣の人と話しながら観る、飲み物を取る、といった動作のたびに画面が追いかけてくるか、その場に留まるかで疲れ方が違います。もうひとつは「作業用途」。画面を机の上の一点に固定できれば、ノートPCの外部モニター代わりに使う道が開けます。VITURE Pro 2の単体記事でXREAL Oneとの分かれ目として書いた「空間固定」の議論が、GT Maxではそのまま当てはまります。
逆に、仰向けで天井方向に画面を出して映画を観るだけなら、固定機能の出番はほとんどありません。頭を枕に預けている間は画面が動かないので、追従モードでも困らないからです。用途がこれに近いなら、空間固定に1.3万円を払う理由は薄くなります。
分かれ目② 視野角59°と重量78g — 9°と15gの天秤
視野角と重量はトレードオフの関係にあります。GT Maxは59°の光学系を積んで78g、VITURE Pro 2は50°で63g。差は9°と15gです。
9°の差は数字以上に効きます。視野角が50°から59°になると、同じ距離に置いた画面の面積は約1.5倍に広がる計算で、映画館の中央席と前方席くらいの違いに相当します。GT Maxが「307インチ相当」を名乗れるのはこの視野角があってこそで、映像の迫力を最優先するならGT Maxに軍配が上がります。
15gの差は、1時間を超える視聴で鼻と耳に来ます。VITURE Pro 2が旧Proから約15g軽くなったときに「長時間装着で鼻に効いてくる差」と書きましたが、GT Maxは重量的にその旧Pro(77〜78g)と同じ帯に戻る形です。映画1本を通しで観る人、寝転んで使う人ほど、この15gが効いてきます。
私自身、モニター2枚体制のデスクからXRグラスを検討するとき、いちばん気になるのはこの重さです。視野角の数字に惹かれても、2時間かけていられなければ意味がない。店頭で試せるなら、必ず10分以上かけ続けてから判断することをおすすめします。
分かれ目③ 視度調整 — 近視の人はここが決め手になる
意外と見落とされるのが視度調整です。VITURE Pro 2は近視0〜-5.0Dの調整ダイヤルを左右独立で内蔵しており、この範囲なら裸眼でそのまま使えます。GT Maxには内蔵の視度調整がなく、近視の人は度付きインサートレンズを入れる方式です。公式サイトでは提携する英国Lensologyのカスタムレンズを案内しており、プレスリリースでは-10.00Dまでの近視に対応するとしています。ただし海外事業者からの購入になり、国内価格や納期は9月5日時点で公式に案内されていません。
つまり、近視-5.0D以内の人はVITURE Pro 2なら追加費用ゼロで裸眼運用でき、GT Maxは海外からインサートを取り寄せるか、コンタクトレンズで使うことになります。一方、-5.0Dを超える強度近視の人は、VITURE Pro 2でも別売レンズフレーム(3,980円)に度付きレンズを入れる必要があり、対応範囲だけならGT Maxのインサート(-10.00Dまで)のほうが広い。乱視も同様で、どちらも内蔵調整では対応できません。
ご自身の度数を確認して、「ダイヤルの範囲に収まるか」を最初に判断してください。ここが決まると、2機種の総額差が大きく変わります。
つなぐ機器で変わる総額
どちらもUSB-C(DisplayPort Alt Mode)で映像を受けるグラスなので、直結できる機器は共通です。差が出るのは、直結できない機器をつなぐときのアクセサリです。
| つなぎたい機器 | RayNeo GT Max | VITURE Pro 2 |
|---|---|---|
| Android(映像出力対応)/Mac・PC/Steam Deck | 直結(同梱ケーブル) | 直結(同梱ケーブル) |
| iPhone 15以降 | 直結。充電併用はUSB-C充電アダプター(5,999円) | 直結(ミラーリング)。充電併用・拡張機能は充電アダプターUltra(15,800円) |
| Nintendo Switch 2 | JoyDock(13,100円) | モバイルドックMini(16,800円・2026年11月中旬出荷予定) |
| PS5・Xbox | HDMIアダプター(8,999円) | 上位ドック(Pro Mobile Dock) |
| 動画配信をグラス単体で | Pocket TV Pro(29,000円・Dolby Vision対応) | — |
ゲーム機との組み合わせでは、GT Maxのアクセサリが総じて安く、しかも今すぐ買えます。Switch 2用で比べるとGT Max+JoyDockが76,080円(発売記念価格)に対し、VITURE Pro 2+ドックMiniは66,680円。差は1万円弱まで縮み、しかもVITURE側は11月中旬までドックが届きません。PS5用ならGT Max側は8,999円のHDMIアダプターで済みます。
iPhoneの充電併用でも、GT Maxの5,999円に対してVITURE Pro 2は15,800円と、アクセサリ側で1万円近い差がつきます。本体価格だけ見るとVITURE Pro 2が圧倒的に安いのですが、「何とつなぐか」を決めてから総額を出すと、GT Maxとの差は思ったより小さくなる場合があります。
どんな人におすすめ?比較から分かる「選び方のポイント」
◆ 空間固定・作業用途重視派におすすめ → RayNeo GT Max
画面を空中に固定して首の動きに縛られたくない人、ノートPCの外部モニター代わりに使う可能性がある人はGT Max一択です。VITURE Pro 2ではどう頑張っても本体だけで固定できません。
◆ 軽さ・寝転び視聴重視派におすすめ → VITURE Pro 2
仰向けで映画やアニメを観るのが主用途なら、15g軽いVITURE Pro 2のほうが長く続きます。空間固定は寝転び視聴では出番が少なく、1,600ニトの明るさと5万円切りの価格がそのまま効きます。
◆ 近視・裸眼運用重視派におすすめ → 度数で分かれる
-5.0D以内ならVITURE Pro 2の内蔵ダイヤルで追加費用ゼロ。それを超える強度近視なら、-10.00Dまで対応するGT Maxのインサート(海外取り寄せ)を選ぶか、VITURE Pro 2にレンズフレーム+度付きレンズを足すかの二択です。
◆ ゲーム機接続重視派におすすめ → RayNeo GT Max
Switch 2・PS5につなぐ前提なら、JoyDock 13,100円・HDMIアダプター8,999円と安価で、今すぐ揃うGT Maxが有利です。VITURE Pro 2は11月中旬までSwitch 2とつながりません。
◆ 迫力・画質重視派におすすめ → RayNeo GT Max
視野角59°、DCI-P3 98%、Dolby Vision(Pocket TV Pro経由)と、映像スペックの上限はGT Maxが上です。ただし明るさの実感はVITURE Pro 2が上という実機評もあるので、明所での視聴が多い人は店頭で確かめてください。
よくある質問(FAQ)
- QRayNeo GT MaxとVITURE Pro 2、画面はどちらが大きく見えますか?
- A
視野角59°のGT Maxのほうが大きく見えます。VITURE Pro 2は50°で、同じ距離換算なら面積で約1.5倍の差があります。
- Qどちらもメガネをかけたまま使えますか?
- A
VITURE Pro 2は近視-5.0Dまで内蔵ダイヤルで裸眼対応します。GT Maxは内蔵調整がなく、提携Lensologyの度付きインサート(-10.00Dまで・海外取り寄せ)かコンタクトレンズでの利用になります。
- QiPhoneで使えますか?
- A
どちらもiPhone 15以降にUSB-Cで直結できます(GT MaxはiPhone 16e/17e/Airを非対応としています)。充電しながら使う場合、GT Maxは5,999円、VITURE Pro 2は15,800円の別売アダプターが必要です。
- QSwitch 2やPS5につなげますか?
- A
GT MaxはJoyDock(13,100円)でSwitch 2、HDMIアダプター(8,999円)でPS5に対応します。VITURE Pro 2はSwitch 2用ドックMini(16,800円)が11月中旬出荷、PS5は上位ドックが必要です。
- QRayNeo GT(無印)とGT Maxの違いは?
- A
GTは視野角46°・約68g・発売記念47,980円で、空間固定やスピーカーはGT Maxと共通です。視野角と画面サイズを取るならGT Max、軽さと価格を取るならGTです。
まとめ
観る用途のXRグラスでいま迷うなら、判断の順番は「空間固定が要るか → 度数はダイヤルの範囲か → 何とつなぐか」の3段階です。この順に答えていけば、どちらが自分向きかは自然に決まります。
- RayNeo GT Max(発売記念62,980円): 視野角59°、Zone 360による本体完結の空間固定、B&O 4スピーカー。78gと重めで視度調整は内蔵なし、固定モードでは輝度336ニトに低下
- VITURE Pro 2(49,880円): 公称63g・最大1,600ニト、近視-5.0Dまで内蔵ダイヤルで裸眼対応。空間固定は非対応で、正面視聴特化
- 総額で見る: Switch 2・PS5・iPhone充電併用ではGT Maxのアクセサリが安く、本体価格差1.3万円は縮む
- 共通の注意: 輝度・重量のカタログ値は測定条件が非公開。実機レビューを併読し、可能なら10分以上試着を
ちなみに、同じRayNeoが同日に出した「RayNeo iO」は33gのAIグラスで、映像視聴ではなく翻訳・議事録に振った別ジャンルの製品です。「メガネ型」でひとくくりにせず、観る道具かAIの道具かを先に分けておくと迷いません。
私自身、机のモニターを増やす方向はもう限界で、次に足すなら「置き場所のいらない画面」だろうと思いながら2機種を見比べていました。正面で観るだけなら軽いVITURE Pro 2、画面を空中に留めたいならGT Max。ご自身の使い方を先に決めて、ぜひ実際にかけ比べてみてください。






