グラフィックボードの背面を見ると、HDMIが1つにDisplayPortが3つ、という並びをよく見かけます。テレビやゲーム機ではHDMIが当たり前なのに、グラボではなぜかHDMIが少ない。SNSでは「HDMIはライセンス料がかかるから1個しか付けない」という説明もよく目にします。
ただ、この説明は本当に正しいのでしょうか。そもそも「HDMI×1+DP×3が多い」というのは、数えて確かめられた話なのか。私はそこから気になってしまいました。
そこで、GeForce RTX 20〜50シリーズとRadeon RX 5000〜9000シリーズのグラボを、メーカー公式の仕様ページで1製品ずつ数えてみました。各世代から主流・中上位・最上位の3つのGPUを選び、ボードメーカー12社とNVIDIA・AMDの公式サイトに載っている製品を集めた結果、542の設計(1,135 SKU)になっています。
やってみて意外だったのは、HDMIを2〜3個積んだグラボが2割近くあったことです。しかも、それが特定のメーカーに偏っていました。ライセンス料の仕組みもHDMIの管理団体の公開資料で確かめたので、「HDMIが1つ」の本当の理由を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の調査について
数値はすべて、2026年10月4日時点でメーカー公式サイトに掲載されていた仕様から当サイトが集計したものです。調べたのは各世代3つのGPU(RTX 20なら2060・2070・2080 Ti)を搭載したグラボで、その世代の全製品を網羅したものではありません。世代ごとの数字は「本調査で対象にした3つのGPUの設計」での値としてご覧ください。調査方法の詳細は記事の後半にまとめています。
542設計のうち373設計、68.8%が「HDMI×1+DP×3」だった
「HDMI×1+DP×3が多い」は、印象ではなく事実でした。542設計のうち373設計、割合にして68.8%がこの構成です。2位の「HDMI×2+DP×2」は50設計(9.2%)。7倍以上の差です。
ここでいう「設計」は、同じメーカーの同じシリーズで、端子の構成が同じ製品を1つにまとめた単位です。OC版と通常版、白モデルと黒モデル、メモリ容量違いのように、映像出力が同じものを別々に数えると、型番の多いメーカーの影響が大きくなりすぎるためです。

| 映像出力の構成 | 設計数 | 割合 |
|---|---|---|
| HDMI×1+DP×3 | 373 | 68.8% |
| HDMI×2+DP×2 | 50 | 9.2% |
| HDMI×1+DP×3+USB-C×1 | 33 | 6.1% |
| HDMI×2+DP×3 | 24 | 4.4% |
| HDMI×1+DP×2 | 13 | 2.4% |
| HDMI×1+DP×2+USB-C×1 | 13 | 2.4% |
| その他(HDMI×3、DVI付きなど11種類) | 36 | 6.6% |
平均するとHDMIは1設計あたり1.2個、DisplayPortは2.8個でした。HDMIのないグラボ、DisplayPortのないグラボは、542設計のなかに1つもありません。どちらか一方に寄せるのではなく、両方を必ず載せたうえで、DisplayPortの数を多めにする——これがグラボの標準的な考え方だと分かります。
NVIDIAは新しい世代ほど「HDMI×1+DP×3」に寄っている
世代別に並べると、NVIDIAではっきりした傾向が見えてきます。HDMI×1+DP×3の割合はRTX 20の33.3%から、RTX 30で64.9%、RTX 40で80.0%、RTX 50では90.4%まで上がりました。

| 世代(対象GPU) | 設計数 | HDMI×1+DP×3 | HDMI×2以上 | 最も多い構成 |
|---|---|---|---|---|
| RTX 20(2060・2070・2080 Ti) | 87 | 33.3% | 16.1% | HDMI×1+DP×3+USB-C×1 |
| RTX 30(3060・3070・3090) | 74 | 64.9% | 35.1% | HDMI×1+DP×3 |
| RTX 40(4060・4070・4090) | 80 | 80.0% | 20.0% | HDMI×1+DP×3 |
| RTX 50(5060・5070・5090) | 94 | 90.4% | 7.4% | HDMI×1+DP×3 |
| RX 5000(5500 XT・5600 XT・5700 XT) | 58 | 86.2% | 8.6% | HDMI×1+DP×3 |
| RX 6000(6600・6700 XT・6900 XT) | 56 | 66.1% | 14.3% | HDMI×1+DP×3 |
| RX 7000(7600・7800 XT・7900 XTX) | 49 | 79.6% | 18.4% | HDMI×1+DP×3 |
| RX 9000(9060 XT・9070・9070 XT) | 44 | 47.7% | 27.3% | HDMI×1+DP×3 |
RTX 20はUSB-CとDVIが残っていた
RTX 20だけ割合が低いのは、HDMIが多かったからではありません。この世代は、VR用ヘッドセット向けの「VirtualLink」というUSB-C端子を備えたカードが多く、RTX 2080 Tiでは調べた31設計のうち27設計がUSB-C付きでした。RTX 2060・2070には、古いモニター向けのDVI端子が付いたモデルも残っています。
RTX 30以降はDVI付きの設計が姿を消し、USB-C付きもRTX 50のASUS ProArt RTX 5090の1設計だけになりました。結果として、HDMI×1+DP×3の4端子構成が主流になっています。HDMIを減らしたというより、ほかの端子が消えていくなかで、HDMI×1+DP×3が定番として残ったと見るほうが実態に近いと思います。
RX 9060 XTは「3端子」が主流
AMDのRX 9000で割合が47.7%まで下がったのは、別の動きによるものです。RX 9060 XTは14設計のうち11設計がHDMI×1+DP×2の3端子構成でした。HDMI×1+DP×3は、1つもありません。Sapphireにいたっては、RX 9060 XTの3設計がすべてHDMI×2+DP×1です。
上位のRX 9070・9070 XTでは、30設計のうち21設計(70%)がHDMI×1+DP×3でした。主流クラスでは端子の数そのものを減らす設計が出てきている、というのがRX 9000世代の特徴です。
HDMIを2〜3個積むメーカーもある。その割合は0%から51.5%まで
今回の調査でいちばん差が出たのは、世代ではなくボードメーカーでした。同じGPUを使っていても、HDMIを何個載せるかはメーカーによってまったく違います。

| メーカー | 設計数 | HDMI×2以上 | HDMI×1+DP×3 |
|---|---|---|---|
| Sapphire | 33 | 51.5% | 36.4% |
| GIGABYTE | 99 | 44.4% | 46.5% |
| ASUS | 86 | 37.2% | 51.2% |
| ASRock | 38 | 5.3% | 86.8% |
| MSI | 86 | 2.3% | 87.2% |
| ZOTAC | 46 | 0% | 69.6% |
| PowerColor | 40 | 0% | 80.0% |
| PNY | 35 | 0% | 77.1% |
| XFX | 32 | 0% | 87.5% |
| Palit | 25 | 0% | 100% |
| GALAX | 10 | 0% | 100% |
※ NVIDIA Founders Edition・AMD製リファレンスボードは設計数が少ないため表から外しています(どちらもHDMIは1個)。
Sapphire、GIGABYTE、ASUSの3社は、HDMI×2以上の設計が37〜52%に達しています。ASUSはROG StrixやTUF Gamingを中心に「HDMI×2+DP×3」の5端子。GIGABYTEは「HDMI×2+DP×2」が多く、上位のAORUSシリーズには「HDMI×3+DP×3」という6端子のモデルまでありました。Sapphireは独自設計のNITRO+やPULSEで「HDMI×2+DP×2」を続けています。
対照的なのがPalitとGALAXです。調べた設計は、すべてHDMI×1+DP×3でした。ZOTAC・PowerColor・PNY・XFXも、HDMIが2個以上の設計は1つもありませんでした。MSIもHDMI×2以上は86設計中2設計だけです。
この差は、「GPUの仕様でHDMIは1個と決まっている」わけではないことを示しています。HDMIを増やすことは技術的にできる。そのうえで、多くのメーカーはDisplayPortを優先し、一部のメーカーはHDMIを増やす方を選んでいる——データから読み取れるのはそういう構図です。
「HDMIはライセンス料が高いから1個」は、公開資料では裏付けられない
では、よく言われるライセンス料の説はどうでしょうか。HDMIのライセンスを管理するHDMI Licensing Administrator(HDMI LA)の公式サイトを確認しました。

年会費とロイヤリティは確かにある
HDMIを製品に載せるメーカーは「Adopter(採用企業)」として契約を結びます。HDMI LAの登録ページによると、費用は年1万ドルの固定年会費、または年5,000ドルに製品1台ごと1ドルの事務手数料を加えたもので、どちらにも別途ロイヤリティがかかると書かれています。ライセンス費用があること自体は、間違いありません。
| 項目 | 公開資料で確認できたこと |
|---|---|
| 年会費 | 年1万ドル、または年5,000ドル+製品1台ごと1ドルの事務手数料 |
| ロイヤリティ | 年会費とは別にかかる(金額は公開ページにない) |
| 料金の単位 | 最終製品(end-user product)1台ごとにライセンス製品である必要がある |
| 端子1個ごとの加算 | 記述は見つからない |
「端子が増えると料金も増える」という記述は見つからない
ポイントは料金の単位です。HDMI LAは、ライセンスが必要なのは「最終製品1台ごと」と説明していて、端子の数で料金が変わるという記述は、公開されているページには見当たりませんでした。ロイヤリティの細かいルールは、契約した企業だけが見られるページで案内されています。2014年の業界向けの解説記事には「ロイヤリティはデバイス単位で、ポートの数には依存しない」と書かれたものもありますが、これは二次情報です。
非公開の細則までは確認できません。なので「HDMIを2個にしても料金は絶対に増えない」とまでは言い切れません。ただ少なくとも、公開資料から「HDMIは1個ごとにお金がかかるから1個にしている」と説明することはできませんでした。
DisplayPortにも特許プールがある
もう一つ見落とされがちなのが、DisplayPort側の事情です。規格を策定したVESAは、DisplayPortをロイヤリティフリーの規格として展開してきました。その一方で、別途Via LA(旧MPEG LA)という会社がDisplayPortの必須特許をまとめた特許プールを運営していて、2013年以降、対象製品1台あたり0.20ドルとしています。こちらは1製品の中のDisplayPortの数には関係しない、と明記されています。
「DisplayPortはタダで、HDMIは有料だから」という単純な対比も、公開資料とはやや合わないわけです。ライセンス費用がまったく影響していないとは言えませんが、ライセンス料だけで「HDMI×1」の多さを説明するのは無理がある、というのが今回の結論です。
DisplayPortはPCのために生まれ、HDMIはテレビのために広まった
ライセンス料よりも筋が通るのは、2つの規格の生まれ方の違いです。

DisplayPortは、DellがPC・グラフィックス・半導体のメーカーに呼びかけて開発を始め、その後VESAに預けられた規格です。2006年5月にはDell・HP・Lenovoがそろって支持を表明しました。VESAは公式のFAQで、DisplayPortを「次世代のパソコン用ディスプレイ接続として開発した」と説明していて、現在もPCモニターの事実上の標準と位置づけています。古いPC向けのデジタル接続だったDVIを置き換えることが、当初の大きな目的でした。
| DisplayPort | HDMI | |
|---|---|---|
| 生まれた場所 | VESA(PC・グラフィックス・半導体企業が中心) | 家電メーカー中心の創設企業 |
| 最初の仕様 | 2006年(1.0) | 2002年12月 |
| 主な想定市場 | PC・PCモニター | テレビ・ホームシアターなどの家電 |
| 複数画面 | MST(1本の出力から複数画面)に対応 | 基本は1出力で1画面 |
| ライセンス | VESAはロイヤリティフリー。別途Via LAの特許プールが1台0.20ドル | 年会費+ロイヤリティ(HDMI LA) |
HDMIの創設企業は、ソニー、日立、パナソニック(当時の松下)、東芝、フィリップス、トムソン、そしてSilicon Imageでした。創設企業の1社が米国の証券当局に出した資料でも、HDMIのライセンスは「家電機器向けのインターフェース」の特許をカバーするものと説明されています。HDMI LAは、2019年に出荷される薄型テレビの100%がHDMI対応になると見込んでいました。テレビとの接続を考えるなら、HDMIを外す選択肢は事実上ありません。
MSTはPCのマルチモニター向けの機能
DisplayPortがPC向けとされる理由の一つが、MST(Multi-Stream Transport)です。1本のDisplayPort出力から、ハブを使ったり、対応するモニターを数珠つなぎにしたりして、複数の画面に映像を送れます。2006年の発表資料の時点で、すでに数珠つなぎの接続が想定されていました。
ただし、MSTを使うにはモニター側の対応も必要で、実際に使っている人はそれほど多くないはずです。MSTがあるから3つになった、とまでは言えません。PCのマルチモニター用途との相性のよさを示す一例、くらいに受け止めるのがよいでしょう。
「性能が高いからDPが3つ」ではない
ここは誤解されがちです。最新のHDMI 2.2は最大96Gbpsの帯域を持ち、4K・240Hzや8K・60Hzを非圧縮で扱えるとされています。2026年現在、「DisplayPortは高性能、HDMIは低性能」という関係ではありません。
DisplayPortが多いのは、最大帯域の優劣というより、もともとPCの画面をつなぐための規格として育ってきたからだと考えるのが自然です。
私自身、ProArt PA279とNitro XV282K KVの2画面体制で使っています。Nitro XV282K KVにはPS5もつないでいますが、PS5の映像出力はHDMIです。PCモニターであっても、PC以外の機器とつなぐことを考えるとHDMI入力はいまも欠かせません。グラボ側にHDMIが1つ残り続けている背景には、こうしたHDMI対応のディスプレイやテレビが幅広く使われていることがある、と考えると自然です。
一方でPC周辺機器の世界では、映像をUSB-C経由で送る流れも進んでいます。Thunderbolt 5ドックを10機種調べたときは、HDMI端子そのものが姿を消しつつありました。
端子が5〜6個あっても、同時に映せるのは4画面まで
「GPUが同時に出せるのは4画面だから、端子も4個」という説明もよく聞きます。たしかに542設計のうち80.8%は物理端子がちょうど4個で、NVIDIAも今回調べた12のGPUすべてで、同時出力は最大4画面と公式に記載していました。
ところが、5〜6個の映像端子を持つ設計も79ありました。そのうち66設計は、メーカーの公式仕様で同時出力が最大4画面と書かれています。

| 例 | 映像端子 | 公式の最大同時出力 |
|---|---|---|
| GIGABYTE AORUS GeForce RTX 2080 Ti XTREME | HDMI×3+DP×3+USB-C×1(7個) | 4画面 |
| GIGABYTE AORUS GeForce RTX 3090 MASTER | HDMI×3+DP×3(6個) | 4画面 |
| ASUS ROG Strix GeForce RTX 4090 | HDMI×2+DP×3(5個) | 4画面 |
端子が7個あっても、同時に使えるのは4画面まで。端子の数=同時に使える画面の数ではありません。余分な端子は、HDMIでつなぐ機器が多い人のための「選択肢の幅」として載っていると考えられます。
逆に言えば、4画面という上限があるので、端子を4個にするのがいちばん無駄がない、とも言えます。4つの枠をDisplayPortとHDMIにどう配分するかで、多くのメーカーが「DP×3+HDMI×1」を選んできた、という見方がデータとよく合います。
結局、なぜ「HDMI×1+DP×3」が多いのか
ここまでの結果をまとめると、理由は1つではなく、いくつかの事情が重なった結果だと考えられます。なお、どのメーカーも「この理由でHDMI×1+DP×3にした」と公式に説明しているわけではないので、以下は実際の製品の傾向と規格の成り立ちからの考察です。
- PCモニター向けの端子はDisplayPortでそろえる: DisplayPortはPCのディスプレイ接続として生まれ、PCモニターの事実上の標準になった
- テレビやHDMI入力中心のディスプレイ・AV機器のためにHDMIを1つ残す: HDMIは家電の標準接続として普及し、テレビとつなぐなら欠かせない
- 同時出力は4画面が基本: NVIDIAのGPUは最大4画面なので、4端子が過不足のない数になる
- HDMIを何個載せるかはメーカーの方針次第: Palit・GALAXはすべてHDMI×1、SapphireやGIGABYTEは約半数がHDMI×2以上
- ライセンス料だけでは説明できない: HDMIの公開料金は製品単位で、端子ごとの加算は確認できなかった。DisplayPortにも特許プールがある

542設計を調べると、約7割がHDMI×1+DP×3でした。ただ、これはライセンス料に強制された形ではなく、メーカーによる例外も大量にあります。PC向けに生まれたDisplayPortを中心に、テレビなどとの互換性を担うHDMIを1つ残す構成が、業界の定番になった——そう考えるのが、今回のデータといちばん整合します。
グラボを選ぶときに端子の数で気をつけたいこと
ここまでの結果は、グラボ選びにもそのまま使えます。
つなぎたい機器を先に数えておく
PCモニターを2〜3台つなぐ使い方なら、主流のHDMI×1+DP×3で困ることはまずありません。気をつけたいのは、HDMIでつなぐ機器が2台以上ある場合です。たとえば、HDMI入力しかないテレビと、HDMIでつなぎたいモニターを同時に使うようなケースですね。
HDMIが2つ欲しいならメーカーとシリーズで選ぶ
HDMIが2つ以上欲しいなら、今回の結果ではASUSのROG Strix・TUF Gaming、GIGABYTEの多くのモデル、SapphireのNITRO+・PULSEが候補になります。ただし同じメーカー・同じシリーズでも、GPUや改版によって端子構成が変わることがありました。たとえばGIGABYTEのRTX 4070 EAGLE OCは、初期版がHDMI×1+DP×3で、V2はHDMI×2+DP×2です。購入前には、型番ごとの公式仕様で「Output」や「Interface」の欄を確かめるのが確実です。
変換アダプターに頼るときは対応表を見る
DisplayPortからHDMIへの変換アダプターで補う方法もあります。ただ、アダプターによって対応する解像度やリフレッシュレートが違うので、4Kや高リフレッシュレートで使いたいなら、アダプターの仕様もあわせて確認しておくと安心です。
調査の方法と範囲
数字の出どころを確認したい方のために、調べ方をまとめておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査日 | 2026年10月4日 |
| 対象世代 | GeForce RTX 20・30・40・50、Radeon RX 5000・6000・7000・9000 |
| 対象GPU | 各世代3つ(主流・中上位・最上位)、計24 GPU |
| ボードメーカー | NVIDIA系: ASUS、MSI、GIGABYTE、ZOTAC、Palit、PNY、GALAX / AMD系: ASUS、MSI、GIGABYTE、Sapphire、PowerColor、XFX、ASRock |
| リファレンス | NVIDIA Founders Edition、AMD製リファレンスボード |
| 集めた範囲 | 各メーカーの公式サイトで確認できた、対象GPUの製品(旧製品はページが残っていないものがあり、漏れの可能性は残る) |
| 数え方 | 仕様欄のテキストに書かれた端子の個数(写真からの推測はしない) |
| 集計単位 | 端子構成が同じOC版・色違い・メモリ違いなどを1つにまとめた「設計」 |
| 有効データ | 542設計(1,135 SKU) |
| 除外 | ノートPC、ワークステーション向け、データセンター向け、外付けGPUボックス、二次情報でしか確認できなかった製品 |
| 再確認 | 乱数で抜き取った60設計(各世代5設計+主流以外の構成20設計)を、記録を見ない別担当が公式ページから数え直し、端子数の食い違いは0件(ZOTAC・PowerColorは対象外) |
この調査の限界
まず、各世代のすべてのGPUを調べたわけではありません。RTX 50なら5060・5070・5090の3つで、5060 Tiや5080は含まれていません。また、PalitとGALAXのRTX 20、GALAXのRTX 3070・3090・4090は、公式サイトから製品ページが消えていたため確認できませんでした。
ほかにも、「HDMI 2.1」のように個数が書かれていない仕様は1個として数えています。メーカーごとに製品数が違うので、全体の割合は製品数の多いASUS・GIGABYTE・MSIの方針の影響を受けやすい、という点にも注意してください。
よくある質問(Q&A)
- QグラボのHDMIが1つしかないと困りますか?
- A
PCモニターをDisplayPortでつなぐなら、ほとんど困りません。HDMIでつなぎたい機器が2台以上あるときだけ、HDMIを2つ備えたモデルを選ぶか、DisplayPortからの変換アダプターを用意する必要があります。
- QHDMIとDisplayPortはどちらが高画質ですか?
- A
規格のバージョンしだいで、どちらが上とは一概に言えません。最新のHDMI 2.2は最大96Gbpsの帯域を持っていて、「DisplayPortのほうが必ず高性能」という時代ではなくなっています。
- QHDMIのライセンス料はいくらですか?
- A
HDMI LAの公開ページでは、採用企業の年会費として年1万ドル、または年5,000ドル+製品1台ごと1ドルの事務手数料が示されています。これとは別にロイヤリティがかかりますが、その金額は公開されていません。
- QDisplayPortは本当にロイヤリティフリーですか?
- A
VESAはDisplayPortをロイヤリティフリーの規格として展開してきましたが、別途Via LAが必須特許の特許プールを運営しています。2013年以降は対象製品1台あたり0.20ドルで、1製品の中のDisplayPortの数には関係しません。
- Q端子が5つあるグラボなら、5画面同時に映せますか?
- A
多くの場合は映せません。今回調べた5〜6端子の設計79のうち66設計は、公式の最大同時出力が4画面でした。何画面まで使えるかは、端子の数ではなく仕様欄の「最大同時出力」で確認してください。
まとめ
グラボの映像出力に「HDMI×1+DP×3」が多いのは、542設計を数えても68.8%という、はっきりした事実でした。NVIDIAでは新しい世代ほどこの構成に寄っており、RTX 50では9割を超えました。ただ、HDMIを2〜3個積む設計も2割近くあり、HDMIを1つに絞るかどうかはメーカーの方針で大きく分かれていました。
- HDMI×1+DP×3は542設計中373設計(68.8%): 2位のHDMI×2+DP×2(9.2%)を大きく引き離す
- HDMI×2以上は97設計(17.9%): Sapphire・GIGABYTE・ASUSに集中し、Palit・GALAXなどは0%
- ライセンス料だけでは説明できない: HDMIの公開料金は製品単位で、端子ごとの加算は確認できなかった
- DisplayPortはPC、HDMIはテレビから: 規格の出発点の違いが、「DPを中心にHDMIを1つ」という配分に表れている
- 端子数と同時出力数は別物: 5〜6端子でも、多くは最大4画面まで
テレビやHDMI入力のディスプレイを複数つなぎたい人はHDMIの数を、PCモニターを並べたい人はDisplayPortの数を、それぞれ公式の仕様欄で確かめてから選ぶと失敗がありません。
私自身、最初は「ライセンス料のせい」という説明をなんとなく信じていましたが、実際に数えてみると、もっと素直な理由が見えてきました。グラボの背面に並ぶ端子は、PCの世界とテレビの世界のどちらにつなぐかという、メーカーの設計思想の表れでもあります。次にグラボを選ぶときは、ぜひ背面の端子にも注目してみてください。

