フルHDのゲーミングモニターを探していると、ここ2週間ほどで急に選択肢が増えたことに気づきます。180Hzが1万円台まで降りてきたかと思えば、400Hzをうたう機種まで出てきました。Acer、Xiaomi、TITAN ARMY、GRAPHT、KTC——メーカーもばらばらで、正直どれがどの位置にいるのか掴みにくいところです。
そこで、この2週間で出そろった6機種を価格順に並べて、1台ずつスペックを突き合わせてみました。16,680円から35,980円まで、幅にしておよそ1.9万円になります。
やってみて意外だったのは、価格の順番と性能の順番が、思ったほど一致していなかったことでした。2,000円安いモデルのほうが上回っている項目がいくつもありますし、そもそも「HDR対応」という言葉が機種ごとに違う意味で使われている。VESAのDisplayHDR認証を実際に取得していたのは、6機種のうち1機種だけでした。
同じ「1ms」という表記も、測り方が4種類に分かれていました。このあたりはカタログを並べただけでは見えてこない部分なので、順を追って見ていきます。なお価格はすべて税込で、2026年8月5日時点で確認したものです。
2万円以下に3機種が固まっている
16,680円から35,980円まで、幅はおよそ1.9万円。ただし6機種は等間隔には並んでいません。
| 価格 | 製品 | サイズ | リフレッシュレート | パネル | 発売 |
|---|---|---|---|---|---|
| 16,680円 | Acer Nitro VG240YS6bmix | 23.8型 | 180Hz | IPS | 2026/7/31 |
| 17,980円 | Xiaomi G25i 2026 | 24.5型 | 240Hz | Fast IPS | 2026/8/3 |
| 19,980円 | Acer Nitro VG240YW5bmiipx | 23.8型 | 260Hz | IPS | 2026/7/31 |
| 26,600円 | TITAN ARMY KG257H PLUS | 24.5型 | 300Hz | Fast IPS | 2026/7/18 |
| 34,980円 | GRAPHT THE SHOOTER 24型 Essential | 24.5型 | 280Hz | Fast IPS+QD-Mini LED | 2026/9/30 |
| 35,980円 | KTC 25M2 Pro | 24.5型 | 360Hz(OC時400Hz) | Fast IPS | 2026/8/4 |
Xiaomiには発売記念の早割(17,081円)がありましたが、2026年8月9日で終了しています。現在は通常価格の17,980円です。KTCの35,980円については後述しますが、ここに罠があります。
下の3機種は16,680円・17,980円・19,980円と、3,300円の幅に収まっています。そこから26,600円まで一気に飛び、あとは34,980円・35,980円で頭打ち。選択肢が密集しているのは2万円以下で、そこを超えると価格差のわりに機種が増えません。
リフレッシュレートは価格順に並んでいません。34,980円のGRAPHTが280Hzで、8,380円安い26,600円のTITAN ARMYが300Hz。GRAPHTのほうが高くて遅い。ただしこれには理由があって、GRAPHTだけQD-Mini LEDバックライトを積んでいます。Hzではなく画質に予算を振った製品です。
【本題】2,000円安いXiaomiが、Acerの260Hz機を上回っている項目
17,980円のXiaomiと、19,980円のAcer 260Hz機を並べます。差額は2,000円。高いのはAcerのほうです。
| 項目 | Xiaomi G25i 2026(17,980円) | Acer VG240YW5bmiipx(19,980円) |
|---|---|---|
| リフレッシュレート | 240Hz | 260Hz |
| HDR | DisplayHDR 400(VESA認証) | HDR10(認証なし) |
| 色域 | DCI-P3 93%/sRGB 100% | sRGB 99% |
| 輝度 | 400nits | 250cd/m² |
| コントラスト比 | 1,000:1 | 1,000:1 |
| 可変リフレッシュレート | FreeSync Premium | FreeSync Premium |
| 応答速度 | 1ms(GTG) | 1ms(GTG)/0.5ms(GTG, Min.) |
| 映像入力 | DP 1.4×1/HDMI 2.0×1 | HDMI 2.1×2/DP 1.4×1 |
| VESAマウント | 75×75mm | 100×100mm |
安いほうがHDR認証・色域・輝度で上回っています。
とくに輝度の差が大きい。250cd/m²と400nitsでは、明るい部屋での見え方が変わります。Acer 4機種の記事で「輝度250cd/m²は明るい部屋だと物足りない場合がある」と書きましたが、同じ価格帯に400nitsの選択肢が出てきたことになります。
Acerが明確に勝っているのは3点です。20Hz分のリフレッシュレート、HDMI 2.1が2系統あること、そしてVESAマウントが100×100mmであること。
3つ目は地味ですが実害が出ます。モニターアームの多くは100×100mm前提で、75×75mmに対応していない製品があります。Xiaomiを買ってアームに載せようとして初めて気づく、という事故が起こりうる場所です。アーム運用を考えているなら、ここだけでAcerを選ぶ理由になります。
なお色域について1つ注記しておくと、Xiaomiの「DCI-P3 93%/sRGB 100%」は同社の公式ページに「Xiaomi Internal Labsによる測定」と明記されています。第三者機関の測定ではありません。一方でDisplayHDR 400はVESAの認証制度なので、こちらは第三者の基準です。同じ「公称値」でも性質が違います。
「HDR対応」が3段階に割れている
6機種のHDR表記を並べると、言葉は似ているのに中身がまったく違います。
| 製品 | HDRの表記 | 中身 |
|---|---|---|
| Xiaomi G25i 2026 | DisplayHDR 400 | VESAの認証を取得 |
| Acer VG240YW5bmiipx | HDR10 | HDR信号を受けられるという意味。認証なし |
| Acer VG240YS6bmix | 記載なし | HDR非対応 |
| TITAN ARMY KG257H PLUS | 「ピーク輝度500nitでHDR対応」 | 自社表記。DisplayHDR認証は確認できず |
| GRAPHT THE SHOOTER Essential | 「HDR1000」 | 自社表記。DisplayHDR 1000認証の取得可否は確認できず |
| KTC 25M2 Pro | 記載なし | 各資料にHDR規格の記載なし |
VESAの認証を名乗っているのはXiaomiだけでした。
ここは誤解しやすいので分けて書きます。「HDR10対応」は、HDR10という信号形式を受け取って表示できるという意味であって、明るさや色の表現力を保証するものではありません。対してDisplayHDRはVESAが定めた認証制度で、輝度・色域・黒レベルの試験を通る必要があります。
そして「HDR1000」のような表記は、どちらでもありません。DisplayHDR 1000という認証は実在しますが、GRAPHTの資料に認証番号や「VESA DisplayHDR」の文字は見当たりませんでした。ピーク輝度1000cd/m²という自社の値を短く書いたものと読むのが自然です。
HDR規格そのものの読み方は以下で整理しています。テレビでもモニターでも同じ考え方が使えます。
この価格帯でHDRに期待しすぎないほうがいいというのが実際のところです。DisplayHDR 400は認証の中では最も下の等級で、明暗の階調が劇的に広がるわけではありません。それでも「認証を取っている」と「対応と書いてある」の間には、検証の有無という差があります。
応答速度の「1ms」も、また基準が違う
HDRと同じことが、応答速度でも起きています。
| 製品 | 公表値 | 測定基準 |
|---|---|---|
| Acer VG240YS6bmix | 1ms | VRB(バックライト点滅) |
| Acer VG240YW5bmiipx | 1ms/0.5ms(Min.) | GTG |
| Xiaomi G25i 2026 | 1ms | GTG |
| TITAN ARMY KG257H PLUS | 1ms(OD時)/標準5.9ms | GTG |
| GRAPHT THE SHOOTER Essential | 1ms(OD時) | 基準の記載を確認できず |
| KTC 25M2 Pro | 0.5ms | MPRT |
同じ「1ms」でも、GTGとMPRTとVRBはまったく別の測り方です。MPRTは残像の見え方を、GTGは画素の色が変わる速さを測っています。VRBはバックライトを点滅させて残像を減らす機能で、輝度が犠牲になります。
注目してほしいのはTITAN ARMYです。「1ms」はオーバードライブを効かせたときの値で、標準では5.9ms(GTG)とメーカー自身が明記しています。数字を隠していないのは誠実ですが、カタログの「1ms」だけを見て買うと印象が変わります。
GTGとMPRTの違いはモニター選びで何度も出てくるので、別途整理しています。
KTCの価格には3つの段階がある
35,980円と書きましたが、この製品の価格は資料によって3つの数字が出てきます。どれも間違いではなく、段階が違うだけです。
| 段階 | 価格 | 内容 |
|---|---|---|
| 通常価格 | 44,980円 | 割引前の表示 |
| タイムセール適用 | 35,980円 | 20%オフ。カートに入れた時点の表示 |
| さらにクーポン適用 | 32,382円 | クーポンコードを手動で入力して初めてこの額 |
プレスリリースが打ち出しているのは32,382円のほうです。ただしこれはクーポンコードの手動適用が前提で、何もしなければ35,980円で決済されます。1.2万円以上の差があるので、買うならクーポンの適用を必ず確認してください。
なおセールとクーポンの終了日時はどの資料にも書かれていませんでした。恒常的な価格ではない可能性が高いので、この記事の価格も期限つきだと考えてください。
価格が上がると、増えるのはHzだけではない
価格帯を3つに区切ると、上がるにつれて何が手に入るのかが変わります。Hzだけを追いかけると見落とす部分です。
2万円以下|ここが激戦区
16,680円のAcer 180Hz、17,980円のXiaomi 240Hz、19,980円のAcer 260Hz。3,300円の幅に3機種が入っています。
1,300円の差でHzが180から240へ上がるので、Acer 180Hz機を選ぶ理由は「とにかく最安」か「D-Sub端子が必要」に絞られます。逆にAcer 180Hz機はコントラスト比が1,500:1と、この6機種で唯一1,000:1を超えています。暗い部屋で映画も観るなら、この一点は効きます。
2万円台後半|300Hzに手が届く
26,600円のTITAN ARMYがここに1機種だけ。12店舗で取り扱いがあり、想定売価とほぼ一致しています。300Hz・sRGB 99%・DCI-P3 92%で、昇降とピボットに対応するスタンドが付くのがこの価格帯では珍しい点です。ただし可変リフレッシュレートは「Adaptive Sync対応」表記のみで、FreeSyncやG-SYNC Compatibleの認証表記は確認できませんでした。
3万円台|方向性が2つに割れる
GRAPHT(34,980円)とKTC(35,980円)は、ほぼ同じ価格で狙いが正反対です。
GRAPHTは280HzとHzを抑える代わりにQD-Mini LEDバックライトを180ゾーンのローカルディミングで載せています。KTCは360Hz(OC時400Hz)とこの6機種で最速を取り、遮光フードと専用リモコンを同梱しています。
「暗いシーンの締まりを取るか、フレームレートを取るか」の分岐です。ただしGRAPHTの発売は2026年9月30日なので、今すぐ買えるのはKTCだけです。
気になるポイント
6機種すべてレビューが0件
価格.comで確認できた範囲では、6機種すべてユーザーレビューが0件で、満足度スコアも付いていません。いずれも直近3週間以内の発売か未発売品だからです。
本記事はメーカー公表値と各媒体の発表記事にもとづく整理であり、実際の発色・ムラ・コーティングの効き具合といった実機でしか分からない部分には踏み込めていません。急がないなら、レビューが増えてから判断するのが確実です。
Acer 2機種とKTCは価格.comに製品ページがない
この3機種は価格.comに製品ページ自体が存在しませんでした。つまり店舗間の価格比較ができず、実売は事実上メーカー直販価格です。
ひとつ注意があります。価格.comの横断検索でこれらの型番を調べると5,000〜9,000円台の商品が出てきますが、これはほぼすべて保護フィルム等のアクセサリーです。本体価格ではありません。
フルHDという選択そのものについて
6機種すべて1920×1080です。23.8〜24.5型でフルHDは、ピクセル密度としては標準的で、競技系のFPSでは今も主流のサイズです。
ただし作業も兼ねるなら話は別です。ブラウザとエディタを並べる、表計算を広げるといった用途では、WQHD以上のほうが素直に効きます。私自身、ProArt PA279とNitro XV282K KVの2画面体制で使っていますが、解像度とリフレッシュレートは同じ予算では両立しません。この6機種はいずれも「フレームレートを取る」側の選択肢です。
可変リフレッシュレートの認証も割れている
FreeSync Premium(Xiaomi・Acer 260Hz)、FreeSync(Acer 180Hz)、Adaptive Sync対応の表記のみ(TITAN ARMY・GRAPHT・KTC)と3段階に分かれています。
Adaptive SyncはVESAの規格名で、機能としては動作します。ただしAMDのFreeSync認証やNVIDIAのG-SYNC Compatible認証を通っているかは別の話です。認証がないと動かないわけではありませんが、動作の保証範囲は変わります。
用途別の選び方
| こういう人 | おすすめ | 決め手 |
|---|---|---|
| とにかく安く高リフレッシュを | Acer VG240YS6bmix(16,680円) | 180Hzが1.6万円台。コントラスト1,500:1は6機種で唯一 |
| 2万円以下で画質も落としたくない | Xiaomi G25i 2026(17,980円) | 240Hz+DisplayHDR 400+400nits |
| モニターアームに載せる | Acer VG240YW5bmiipx(19,980円) | VESA 100×100mm。Xiaomiは75×75mmで非対応アームがある |
| PCとゲーム機を2台つなぐ | Acer VG240YW5bmiipx | HDMI 2.1が2系統。XiaomiはHDMI 1系統のみ |
| スタンドの高さを調整したい | TITAN ARMY KG257H PLUS(26,600円) | 昇降100mm・ピボット対応。他は基本チルトのみ |
| 暗いシーンの締まりを最優先 | GRAPHT THE SHOOTER Essential(34,980円) | QD-Mini LED 180ゾーン。ただし9/30発売 |
| フレームレートを最大化 | KTC 25M2 Pro(35,980円) | 360Hz/OC時400Hz。クーポン適用で32,382円 |
迷ったときの分岐は2段階です。まず「2万円以下で足りるか」、次に「アームに載せるか」。この順で決めれば、上位3機種のどれかに収束します。
もっと上の画質を狙うなら、有機ELやウルトラワイドという選択肢もあります。
同じ有機ELでも27型クラスなら、5万円から10万円まで幅があります。その帯を42機種数えて整理した記事もあるので、フルHDから一段上げるか迷っている方はこちらもどうぞ。
よくある質問(FAQ)
- Q6機種のなかで「一番お得」なのはどれですか?
- A
単純なコストパフォーマンスなら Xiaomi G25i 2026(17,980円)です。240Hzに加えてDisplayHDR 400認証、DCI-P3 93%、輝度400nitsを備え、2,000円高いAcerの260Hzモデルをこの3項目で上回っています。ただしVESAマウントが75×75mmでHDMIが1系統しかないため、モニターアームや複数機器の接続を前提にするなら評価が変わります。
- QDisplayHDR 400とHDR10は何が違いますか?
- A
HDR10は信号の形式で、「HDR10対応」はその信号を受け取って表示できるという意味です。明るさや色の表現力を保証するものではありません。DisplayHDRはVESAが定めた認証制度で、輝度・色域・黒レベルの試験を通る必要があります。今回の6機種でVESA認証を取得しているのはXiaomiのDisplayHDR 400だけでした。
- Q「1ms」と書いてあれば、どれも同じ速さですか?
- A
違います。GTG(画素の色が変わる速さ)、MPRT(残像の見え方)、VRB(バックライト点滅による残像低減)は別の測定方法で、横並びで比較できません。TITAN ARMY KG257H PLUSは「1ms」がオーバードライブ有効時の値で、標準では5.9ms(GTG)とメーカーが明記しています。
- QKTC 25M2 Proは結局いくらですか?
- A
2026年8月5日時点で、通常価格44,980円、20%タイムセール適用で35,980円、さらにクーポンコードを手動で適用して32,382円です。プレスリリースが打ち出しているのは32,382円ですが、クーポンを適用しなければ35,980円で決済されます。セールとクーポンの終了日時は公表されていません。
- QVESAマウントの75×75mmと100×100mmはどちらでもいいですか?
- A
モニターアームを使うなら重要です。市販のアームは100×100mm対応が多く、75×75mmに対応していない製品があります。今回の6機種でXiaomiだけが75×75mmで、他は100×100mmでした。アーム運用を考えているなら購入前に対応規格を確認してください。
- Q300HzのTITAN ARMYより、280HzのGRAPHTのほうが高いのはなぜですか?
- A
GRAPHTはリフレッシュレートではなく画質に予算を振っているためです。QD-Mini LEDバックライトを180ゾーンのローカルディミングで搭載しており、暗いシーンの締まりに効きます。フレームレート優先ならTITAN ARMY、暗部表現優先ならGRAPHTという住み分けです。
まとめ
フルHDの高リフレッシュ帯は、価格と性能が素直に並んでいませんでした。
- 16,680円〜35,980円に6機種。180Hzから400Hzまで
- 2,000円安いXiaomiが、Acerの260Hz機をHDR認証・色域・輝度で上回る
- ただしAcerはHDMI 2.1が2系統、VESA 100×100mmで勝つ。アーム運用なら決定的
- VESAのDisplayHDR認証を取得しているのは6機種中Xiaomiだけ。他は「HDR10」「HDR1000」などの自社表記
- 「1ms」の中身がGTG・MPRT・VRBに割れている。TITAN ARMYは標準5.9ms(GTG)とメーカーが明記
- KTCの価格は3段階(44,980円→35,980円→クーポン適用32,382円)。クーポンは手動適用
- 34,980円のGRAPHTは280Hzで、26,600円のTITAN ARMYより遅い。QD-Mini LEDに振っているため
- 6機種すべてユーザーレビュー0件。実機の評価はこれから
2万円以下で選ぶなら、いま最も強いのはXiaomi G25i 2026だと思います。ただしVESA 75×75mmとHDMI 1系統という制約があるので、アームに載せるか、機器を2台つなぐならAcerの260Hzモデル。この2択がこの記事の実質的な結論です。
価格はどれも動きやすい時期です。とくにKTCのタイムセールとクーポンは終了日時が公表されていないので、購入前にご自身で確認してください。実機レビューが増えて新しい情報が分かり次第、本記事も更新します。





