ワイヤードイヤホンの中でも高い人気を誇るfinalの「Aシリーズ」。その中でも注目されているのが、コスパに優れた【A4000】と、上位モデルとしてさらに解像度と音場を高めた【A5000】です。価格は倍以上の差がありますが、果たしてその違いはどれほど大きいのでしょうか?そして、どちらを選べば満足できるのでしょうか?
この記事では、スペック・音質・装着感・価格など複数の観点から2機種を徹底比較。A4000の「ありえない音」なのか、A5000の「上位機らしい完成度」なのか——結論として、音にこだわりたいならA5000、コスパを重視するならA4000という選び方が見えてきました。あなたにぴったりの1本を見つける参考になれば幸いです。
製品概要とスペック比較


まずは、final A5000とA4000の基本情報を確認しておきましょう。どちらもfinal独自のドライバ「f-Core DU」を搭載し、ハイレゾ対応の有線イヤホンですが、価格やチューニング思想、付属ケーブルなどに明確な違いがあります。
final A5000:ハイエンド志向のAシリーズ中核モデル

2022年12月発売。Aシリーズの中でも上位機に位置づけられ、高解像度かつ空間表現に優れた音作りが特徴。価格帯は約32,800円(税込)で、音質にしっかりこだわりたい中~上級者に向けたモデルです。
final A4000:価格以上の実力を持つ高コスパモデル

2020年10月発売。価格は約16,800円(税込)と手ごろながら、「この価格帯では信じられない音質」と高評価を得ているエントリー寄りのモデル。初めてのリケーブルイヤホンとしても人気です。
スペック比較表
項目 | final A5000 | final A4000 |
---|---|---|
発売日 | 2022年12月23日 | 2020年10月28日 |
価格(税込) | ¥32,800(参考価格) | ¥16,800(参考価格) |
ドライバー | 6mm径ダイナミック型(f-Core DU) | 6mm径ダイナミック型(f-Core DU) |
感度 | 100dB/mW | 100dB/mW |
インピーダンス | 18Ω | 18Ω |
コネクタ | 2pin(φ0.78mm) | 2pin(φ0.78mm) |
ケーブル | ソフトシルバーコートケーブル(OFC) | 標準OFCケーブル |
ハウジング素材 | ABS樹脂(ブラック) | ABS樹脂(ネイビー) |
重量(本体) | 約28g(ケーブル含む) | 約18g(ケーブル除く) |
再生周波数帯域 | 非公表(ハイレゾ対応) | 非公表(ハイレゾ対応) |
付属品 | イヤーピースType E(5サイズ)、ケース等 | イヤーピースType E(5サイズ)、ケース等 |
音質傾向 | 高解像・空間表現に優れたモニター系サウンド | 明るく抜けの良いナチュラルサウンド |
音質の違いを比較
final A5000とA4000は、どちらも「f-Core DU」ドライバーを搭載していますが、音質のチューニングはまったく異なります。それぞれのモデルが狙うリスニング体験が明確に分かれているため、好みや用途によって選び方が変わります。
チューニング傾向の違い
- A5000は、モニター寄りのフラットかつ高解像な音作りが特徴です。低域から高域までバランスよく整えられており、細かな音のニュアンスや空間の広がりまでしっかり再現してくれます。過度な味付けがなく、まさに音源そのものを正確に聴きたい人向けのサウンドです。
- A4000は、やや高域寄りで明るくナチュラルなチューニング。音の抜けがよく、ヴォーカルやアコースティック楽器が映える音質に仕上がっています。全体のバランスは良好ですが、A5000と比べると音場はやや狭めで、定位や細部の描写に甘さが見られます。
解像度・空間表現・低域の比較
項目 | final A5000 | final A4000 |
---|---|---|
解像度 | 非常に高く、細かい音も明瞭 | 十分高いが、A5000と比べるとやや劣る |
空間表現 | 音の広がりがあり、定位も正確 | やや狭め、音が中央に集まりやすい傾向 |
低域の量感 | タイトで締まりがあるがやや控えめ | やや豊かで、聴きやすいバランス |
中高域の伸び | 滑らかで伸びやか | 明るくシャープ、やや刺さりがちな傾向も |
全体の傾向 | ニュートラルで情報量重視 | ナチュラルでポップに向く |
音楽ジャンルとの相性(主観)
- A5000が合うジャンル
クラシック、ジャズ、ポストロック、Hi-Res音源、ピアノソロなど「音の構成」や「空間」を楽しむジャンル。エンジニア視点で聴きたい人にもおすすめです。 - A4000が合うジャンル
ポップス、ロック、アニソン、K-POP、アコースティックなど「ボーカル中心」や「勢い」を重視する音楽に好相性。元気なサウンドが気持ちよく響きます。
価格とコストパフォーマンスの比較
約2倍の価格差、その価値はある?
final A5000の実売価格は約32,800円、対してA4000は約16,800円と、ちょうど2倍の価格差があります。スペック上の大きな差は見えづらいものの、音質面での完成度・空間表現力・ケーブル品質など、リスニング体験の質は明確にA5000が上です。
特に、音の重なりやディテールを聴き取りたい人にとって、A5000の「情報量の多さ」と「自然な定位感」は価格以上の価値があります。一方で、A4000はこの価格帯では破格の音質を実現しており、「1万円台で買えるリケーブル対応イヤホン」としては群を抜いた存在です。
価格帯ごとの競合と比較しての魅力
モデル | 価格帯 | 主なライバル機種 | コスパ評価 |
---|---|---|---|
final A5000 | 約3万円台 | Etymotic ER2SE、Moondrop KATOなど | 解像度・空間表現に強く、プロ用途にも耐える |
final A4000 | 約1万円台 | ZERO:RED、Moondrop CHU IIなど | リケーブル対応・高解像度で圧倒的コスパ |
A4000は、1万円台でこの解像感・分離感を持ち、かつリケーブル対応というのが非常に稀であり、「音に詳しくなくても感動できる音」が得られる点が魅力です。
A5000は、1万円台では得られない「音場の立体感」「解像度の精緻さ」が加わり、「音のプロポーションを崩さずに純粋に質を高めたモデル」と言えます。
どちらがおすすめか?用途別の選び方
final A5000とA4000は、価格やスペックだけでなく「音の捉え方」や「使い方」においても選び方が大きく分かれます。ここでは、目的やスタイルに応じて、どちらが適しているかを整理してみました。
初めてfinalを使うなら?

- A4000がおすすめ
→ はじめてfinalの音に触れるなら、A4000は最適な入門モデルです。価格が手ごろで、finalらしいナチュラルなチューニングを気軽に体験できます。
→ リケーブル対応なので、あとからアップグレードも楽しめるのも◎。
音楽をじっくり聴き込みたいリスニング派なら?

- A5000がおすすめ
→ 音場の広さや解像感の高さがあり、楽曲の細部まで聴き込みたい人にぴったり。
→ ジャズやクラシック、インストゥルメンタルなど、余白や空気感が大事なジャンルに最適です。
ゲーム・DTM・ミキシングなどモニター用途なら?
- A5000が断然おすすめ
→ モニター寄りのフラット傾向で、音の定位が非常に明確。作業用モニターとしても信頼できます。
通勤・通学や普段使いメインなら?
- A4000がおすすめ
→ 軽量で耳当たりも優しく、元気な音が楽しく響くA4000は、毎日のリスニングにぴったり。
→ ボーカルものやJ-POPなども明るく聴かせてくれる傾向があります。
解像度や音の広がりにこだわるなら?
- A5000一択
→ 価格差はあれど、空間表現や分離感では一段上。ハイレゾ音源の魅力をしっかり感じたい方にも◎。
まとめ:あなたに合うのはどっち?
ニーズ・用途 | おすすめモデル |
---|---|
コスパ重視・気軽に高音質を楽しみたい | final A4000 |
音の正確さ・空間描写にこだわりたい | final A5000 |
初めてのfinalを試したい | final A4000 |
DTMや音楽制作のモニター用途に使いたい | final A5000 |
通勤通学用に気軽に聴きたい | final A4000 |
ハイレゾや高解像音源を活かしたい | final A5000 |
まとめ

final A5000とA4000は、同じAシリーズでありながら、価格・音質・音の方向性において明確な違いを持つイヤホンです。
A4000は、1万円台という価格帯ながら、抜群の解像感とナチュラルなチューニングで「価格破壊級」と言われるほどの完成度を誇ります。軽量で装着感もよく、普段使いにちょうどいいバランス型。初めての有線イヤホンやリケーブル体験にもぴったりです。
一方でA5000は、価格こそ倍以上しますが、そのぶん音の立体感・空間の広がり・定位の正確さなど、音楽の深い世界を味わいたい人にとっては非常に魅力的なモデル。細部の描写や解像度を重視するなら、間違いなく価格に見合う価値があります。
筆者ならどちらを選ぶか?
もし私が1本を選ぶなら、A5000を選びます。理由は「空間表現」と「解像度」の差が想像以上に大きく、特にクラシックやジャズ、アンビエントなど空気感を大事にしたい音楽を聴くときに、その違いがはっきりと感じられるからです。
とはいえ、A4000の「これで1万円台?」というコストパフォーマンスの高さも無視できず、音楽を気軽に楽しむセカンド機としても非常に優秀です。