高音質完全ワイヤレスイヤフォン市場において、数ある製品の中でもひときわ注目を集める「Denon PerL Pro」。医療技術を応用したパーソナライズ機能や、ロスレスオーディオ対応といったハイエンドなスペックが盛り込まれており、音楽ファンはもちろん、クリエイターやオーディオマニアにも強い関心が寄せられています。今回は、その特徴や使い心地、音質などを徹底検証していきます。
商品概要
Denon PerL Proは、医療技術を応用したパーソナライズ機能により、各ユーザーの聴力特性に合わせた最適なサウンドを実現する完全ワイヤレスイヤフォンです。
Qualcomm aptX Losslessテクノロジー搭載により、ワイヤレスながらもCD品質のロスレスオーディオ再生を可能にしています。
適応型ハイブリッド・ノイズキャンセリングやソーシャルモードを備え、様々な環境下で快適なリスニング体験を提供します。
Dirac Virtuoによる空間オーディオやProEQの5バンドイコライザーで、ユーザー好みの音質調整が細かく行えます。
さらに、通話用には骨伝導マイクを含む4つの内蔵マイクとaptX Voiceにより、クリアな音声通話が実現されています。
基本仕様
項目 | 詳細 |
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イヤフォン本体 | 質量:8 g 防滴性能:IPX4 |
充電ケース | 外形寸法:72.4 × 30.2 × 35 mm 質量:51.2 g |
バッテリー駆動時間 | イヤフォン単体:8 時間(※1) ケース内:24 時間(※2) |
急速充電 | 5 分充電で 1 時間再生可能(イヤフォン) |
充電時間 | ケース:1 時間 |
充電ケーブル | USB-A to USB-C(20cm) |
ワイヤレス充電 | ケース対応 |
イヤーチップ | シリコン製イヤーチップ:XS / S / M / L フォームイヤーチップ:1 種類 ウイングアタッチメント:2 種類 |
操作 | タッチコントロール(カスタマイズ可能) オートパワー オン/オフ 専用アプリ:Denon Headphones アプリ |
技術仕様
項目 | 詳細 |
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パーソナライズ機能 | Masimo Adaptive Acoustic Technology (AAT) ※ユーザーの聴力特性を自動測定し、最適なリスニング・プロファイルを作成 |
ノイズキャンセリング | 適応型ハイブリッド・ノイズキャンセリング(自動測定&解析による最適化) 外音取り込み機能:ソーシャルモード |
ドライバー | ドライバーサイズ:10 mm ドライバー形式:超低歪み 3 レイヤー・チタニウム振動板 ダイナミックドライバー 再生周波数範囲:20 Hz~40 kHz |
空間オーディオ | Dirac Virtuo ※ステレオコンテンツを自然に広がるサウンドへ変換 |
イコライザー・低音調整 | イコライザー:ProEQ(5 バンド) 低音調整機能:イマージョンモード |
Bluetooth バージョン | 5.3 |
対応Bluetoothコーデック | aptX Lossless(44.1kHz/16bit) aptX Adaptive(96kHz/24bit) aptX / AAC / SBC |
その他Bluetooth機能 | Bluetooth Quick Switch:対応 マルチポント接続:対応 |
内蔵マイク | 左右それぞれに4 個(うち1 個は骨伝導マイクを含む) |
通話用コーデック | Qualcomm aptX Voice ※通話時の高音質を実現 |
特徴
医療技術を応用したパーソナライズ機能「Masimo AAT」
Denon PerL Pro の最大の魅力は、何と言っても医療技術を応用したパーソナライズ機能「Masimo Adaptive Acoustic Technology (AAT)」。各ユーザーの聴力の個性を自動測定し、最適なリスニングプロファイルを作成してくれるため、音楽が本来持つ豊かな表現力を余すところなく楽しむことができます。耳の微妙な聴覚特性に合わせたサウンド調整は、他のイヤフォンにはなかなか見られない革新的なアプローチです。
ワイヤレスで実現するロスレスオーディオ体験
Qualcomm aptX Lossless テクノロジーを搭載したSnapdragon Sound により、44.1kHz/16bit のコンテンツをビットパーフェクトで再生可能。つまり、CDと同等のロスレスサウンドをワイヤレスで楽しむことができます。さらに、混雑した無線環境でもビットレートを自動調整し、音の途切れを最小限に抑える工夫が施されており、ストレスフリーなリスニング体験を実現しています。
環境に応じたノイズキャンセリングと外音取り込み機能
外部環境のノイズを自動で検知し、インテリジェントにノイズキャンセリング効果を最適化するため、騒がしい環境下でもクリアな音楽再生が可能です。また、外音取り込み機能「ソーシャルモード」を搭載しているため、イヤフォンを外さずに周囲の音を聞くことができ、オフィスや外出先での使い勝手も抜群。状況に応じた柔軟な運用ができる点は、現代の多様なライフスタイルにマッチしています。
豊富なサウンドカスタマイズ機能
パーソナライズ機能に加え、5バンドのイコライザーや低音調整機能(イマージョンモード)、さらにはDirac Virtuo によるステレオコンテンツの空間オーディオ変換機能まで搭載。これにより、ユーザー自身の好みに合わせた微調整が可能になり、まるでスピーカーで音楽を聴いているかのような臨場感あふれるサウンドを実現します。細部にまでこだわった音響設計は、音楽に対するこだわりの強いユーザーにとって大きな魅力となるでしょう。
快適な通話体験と充実の機能群
左右それぞれに1つの骨伝導マイクを含む4つの内蔵マイクと、Qualcomm aptX Voice により、通話時もクリアな音質を維持。周囲のノイズを効果的に抑制し、相手にしっかりと声が伝わります。さらに、Denon Headphones アプリを利用すれば、リスニング・プロファイルの作成やイコライザーの調整、タッチコントロールのカスタマイズ、さらにはノイズキャンセリングやソーシャルモードの切り替えと、細かい設定が手軽に行えます。
洗練されたデザインと使い勝手
軽量設計(イヤフォン:8g、ケース:51.2g)とコンパクトなサイズ(ケース:72.4 x 30.2 x 35 mm)により、長時間の使用でも疲れにくい設計が魅力。複数のイヤーチップ(シリコン製、フォーム製、ウイングアタッチメント)が用意されており、ユーザーの耳にぴったりフィットする快適性を追求しています。急速充電やワイヤレス充電に対応した充電システムも、日常の使いやすさを向上させるポイントです。
Denon PerL Proを2ヶ月間の通勤で使用したレビュー
パーソナライズ機能の素晴らしさ
Denon PerL Pro のパーソナライズ機能は、まさに革新的です。今まで自分では聞き取れていなかった音域まで明瞭に再生されるため、同じ音楽でも印象が大きく変わりました。「この音は今まで聞こえていなかったのか」「この曲はこんな表現をしていたのか?」と驚くことばかりです。筆者の場合、高音域はしっかり聞こえていましたが、低音域の認識が弱かったため、パーソナライズ機能によって補正され、より豊かなサウンドを楽しめるようになりました。この機能の有無で「Denon PerL Pro」の印象が大きく変わるため、購入後は必ず活用すべきです。
装着感の課題
本機の筐体はやや大きめで、装着感には少し難があると感じました。特にイヤホンの軸が楕円形のため、一般的なイヤピースとの互換性が低く、自分が普段愛用しているスピンフィットのイヤピースは使用できませんでした。イヤピースにこだわりを持っている方は、購入前に適合性を確認することをおすすめします。
ノイズキャンセリングの不安定さ
ノイズキャンセリング機能は、周囲の環境に応じて最適化される仕様ですが、実際に電車内や駅のホームで使用したところ、その効果は安定せず、期待したほどの遮音性は得られませんでした。電車の走行音や車内アナウンス、隣の乗客の話し声や咳払いなどが普通に聞こえてしまうことが多く、ノイズキャンセリングイヤフォンとしては不十分な印象です。さらに、日によって遮音できる音の種類が異なり、「今日は話し声が聞こえるが、昨日は走行音が目立っていた」など、一定の遮音効果が得られない点が気になりました。ノイズキャンセリングを重視している方には向かないかもしれません。
外音取り込み機能の違和感
外音取り込み機能にも課題があります。通常、外音取り込みはイヤフォンを外さずに周囲の音を自然に聞けることが目的ですが、「Denon PerL Pro」では音が必要以上に増幅され、不自然に感じました。特に地下街を歩いているときに外音取り込みをONにすると、普段は気にならない足音が異常に強調され、違和感を覚えます。環境音のバランスが崩れるため、会話のために使用するにはあまり適していないと感じました。
総評
「Denon PerL Pro」は、静かな環境で音楽を楽しむのに最適なイヤフォンです。パーソナライズ機能によって、自分の耳に最適化されたサウンドを楽しめる点は非常に優れています。しかし、ノイズキャンセリング機能は不安定で、騒がしい環境では周囲の音が気になってしまうため、音楽に没入しにくいのが難点です。特に、電車や屋外での使用を検討している方は、この点を考慮する必要があります。
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